LongStory

□6章
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senga.side




「ん…」




太陽の日差しに

俺はそっと目を開けた




隣には、ニカ。




俺らは昨日

藤ヶ谷先輩に追い詰められ

包丁を、振りかざされそうになったけど



直前で

ニカが俺の手を引いて

走り抜けた





俺は

未だに状況が把握出来ずにいた





だって

藤ヶ谷先輩は

校内でも人気のある先輩だった




後輩には優しくて

同級生にだって、頼られるような


俺の中で

理想の先輩って感じで



ずっと

憧れてたんだ







なのに

昨日見た先輩は

前の面影なんて何処にもなくて



血走った目に

血で薄汚れた制服に

乱れた髪に


全てに

恐怖を感じた








「…千賀?」



「…あ、起きたんだ。おはよ」



「おはよ。どうした?元気ねーけど」



「ううん、別に」






俺は小さく笑って

ニカの手に

保健室から持ってきた包帯を巻いた




今はこうやって

ずっと会いたかったニカと

行動を共に出来るんだから

神様に感謝しなくちゃ。



先輩のことは、忘れよう








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