復活 他

□愛ってヤツは 3
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時に恋は人を大胆にさせるなんて言葉をよく誰かが言っていた

そんな事俺には関係がないと腹をくくっていた高校生時代

惜しくもそれはやぶられる

普通に誰かを愛する日が俺にはくるのだろうかとすら考えていたあの頃

きっと適当に結婚して
適当な家庭を作りのんびりほのぼの…

なんているごく普通の未来を思い描いていたあの頃

現実はそう

女ではなく男を好きになった事だ

さらに言えば高校生の頃女だった奴が男に変わるなんて不思議体験すりゃ
そんなの普通だなんて言えるさ


プロポーズなんてしてきやがって……

俺の恋人古泉一樹
現在俺の上司

そしてついこの間プロポーズしてきやがった

ハルヒいや今はハルヒコのおかげか同性の結婚は普通の男女の結婚のように実に簡単になった

そしてそれを受けいれた俺がいる


「引越し完了っと!って古泉…なんだ 腰に腕なんか回してきて…今日はしないからな!」

ハルヒコの家の隣がちょうど空いていた事もあり俺達はそこに引っ越しをした

男二人が住むには十分過ぎる部屋数だ

リビングには白いソファー
そしてテレビに白い机

男同士ならこれぐらいで十分だ


そして現在の俺といえば

「いえ 引越しも終わったので労いにと思いまして」
と古泉が俺の後ろで話す

腰に腕をがっちり回している
逃げないというのに…

「お前のねぎらいかたは間違ってるんだよ 明日から殺人犯追うんだよ 俺は!」

そう…明日からだ
今日は非番だったのでとりあえず引っ越しを決行したわけだが…
明日になればまたいつもの生活になる

「僕の権限ならなんとでもなりますよ」

古泉の真剣な声だ


「やめろ…俺はまだこの仕事が好きなんだよ…………けっ結婚したからって…やめる気ないからな」

そう俺はまだやる気でいる

お前は笑うかもしれない…とりあえずどうにかなればいいという考えだった俺が何があったかこの仕事が好きだ

報われないときがほとんどで辛い経験もしてきたが…それでも俺はやりたいんだ

お前がいるから…

なんていうのは俺だけの内緒だ

「分かってますよ 僕はただ不安なだけです」

抱きしめる腕にさらに力が入る
声色もいつもの調子ではない



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