☆Novel

□新田東野球部
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「俺、海音寺さんが好きです。」

「ははっさんきゅ、俺もだよ!」

「なら俺と付き合ってください」

「・・・へ?」

「俺の事好きなら、付き合ってもいいでしょう」

「え・・・?「好き」の意味が違うんじゃ・・・」

「本気です。先輩、愛してます。」



時間が止まった気がした。





部活が終わり、みんなで片付けをするように指示した俺は、今年入学してきた天才ピッチャー、原田巧と一緒にバットとボールを倉庫へ運んでいた。
俺は、ボールを別の箱に移し変えるというなんとも楽な作業をしている最中だった。

原田の異変に気付いたのは、この時だった。

バットをなおすように命じられた原田が、全く動かない。動かないと思えば、すごく痛い視線が背中に当たる。なんだろうと思いながらも、ボールを片付け終えた俺は、原田にもう一度さっき命じた事を言った。
すると、こんな言葉が返ってきた。


「俺、海音寺さんが好きです。」


そして今にいたる。



数秒の沈黙のあと、原田が口を開いた。

「先輩も俺が好きなんでしょう?なら、付き合ってくれてもいいじゃないですか」

「い・・・いや、だから・・・」

「あ、そうだ、彼氏彼女がする事といえば、キスですよね?」


嫌な予感。


「先輩・・・キスしましょう」


的中。


「・・・こないなら、いきます。」

「ちょっ・・・俺の意見は無視か!?原田、待てって!!」


俺より少し背の高い原田が、壁に俺を押し付けて、手首をしっかり握った。
その切れ長い目がうす開きになっていて、かすかに俺を見ていた。
形のいい唇が俺の唇へ迫ってくる。
あと数センチもない距離になったとき。

「・・・愛してる・・・」

「ぅ・・・うわぁぁあぁぁあ!!!」


俺は力の強い原田の体を、自分の力のほとんどを使って押しのけた。
倉庫から飛び出して、誰か助けてくれる人はいないかと辺りを見回す。



いた!


俺は、そいつに向かって走り出した。






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