* お題他 *

『拍手小話集』
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【選択式 87】

* どうしよう、好きみたい *






「どうしよう」


アンタが言った。


「何がっスか?」


俺が返した。
そしたらまさか、あんな言葉が続くなんて!


いくら“鉄壁のニ遊間”てな関係だって、サスガにそのパスは受け取れねぇっしょ。

そりゃアンタが女だったら考えるけど?
ほらこれって、“友達からコイビト”への常套句じゃん?


でも俺等、男だし。
しかもアンタ、泣く子も黙る小湊亮介サンですし?

キレイな顔してちっさい身体で、でも棘だらけ。更に毒が滴るぐらいにタップリとくりゃあ、俺じゃなくてもビビるって。



……いや、だから!

そんな困った顔で見つめられても、俺の方が困るから!


逃げ出しそうな俺に気付いて、アンタはしょぼん、とうなだれた。



「…ごめん」


まるで似合わねぇ殊勝な言葉。
良く通る、涼やかな響きはないに等しい。
なのにどことなく芯が一本通った声は、どうしたってアンタのもの。
俺が好きな凛とした……ん、好きな?

さらっと出た心の声に首を傾げる俺を余所に、亮介さんが顔を上げた。
真正面からぶつかった視線にごくん、と無意識に唾を呑む。そしたらアンタ、こんな時だってのに得意の笑顔も何もなく、



「でも、俺。お前のコト好きだから」


精一杯って顔なのに、怯むことなくもう一度そう言ってのけた。



………。


ありえねぇ。
マジありえねぇって。



一瞬ドキッとしちまったなんて、俺は絶対認めねぇ!






-オワリ-




お題サイト:確かに恋だったさんよりお借りしました。

お礼文がこんな簡単でいいのだろうかと思いつつ下手な鉄砲をばら撒きます。すみません!

亮介さんに健気に想われる倉持…。羨ましいぞ!(笑)




ご来訪ありがとうございます^^


2009/3/24 ユキ☆

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