* お題他 *
□『拍手小話集』
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亮←春?
* 微熱 *
兄貴といるとね、どきどきするんだ。
憧れ?緊張?
…ううん、違う。
それなら振り向いてもらえなくて悲しいとか、目が合わなくて落ち込むとか、その分それが叶ったときにこうやってドキドキするとかおかしいでしょ。
「春市?」
考えてたら赤くなってたみたいで、兄貴が訝し気に前髪に触れてきた。
「顔赤いよ?熱あんじゃないの?」
大人しく額を露わにされている俺に、食堂にいた皆が揃って目を瞠ってた。
栄純くんにも降谷くんにも、先輩にだって前髪には触らせないからね。驚くのも無理ないかも。
「…平気」
「嘘付くんじゃないよ。今日はもう寝な」
本当に平気なんだけど…。と思ったけどこういう時の兄貴はやっぱり兄貴。
小さい頃と変わらない、お兄ちゃんの顔で俺の顔を覗き込む。
ああもう。
ホントずるいなぁ。
いつもはお前のコトなんか知りませんよって顔してる癖に、時々こうやって手を伸ばしてくるからホント兄貴って性質が悪い。
それに振り回されて喜んでるんだから、俺も大概バカだよね。
…ああ、でも、折角だし。風邪ってことにしとこっか。
だってそれなら、
胸が苦しいのも、
ドキドキして頭が働かないのも、
冷たい手のひらが嬉しいのも、
このまま甘えてしまったとしても。
全部全部、熱のせいに出来るでしょう?
ほんとは、兄貴の誤解に便乗しただけなんだけど。
ねぇ、何だか。
ふわふわしたこの気持ちは、甘い熱に似ているね。
-オワリ-
片想いも好きだったりします。
ご来訪ありがとうございます!
2010/6/2 ユキ☆