* お題他 *

『拍手小話集』
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亮→誰か→←春(三角関係・別れ話)・亮視点
短文ですがあまり拍手向けじゃないです;ごめんなさい!




* 愛して (独りきりで繰り返す) *






「…ごめん、俺、アイツの事が…」


文字通り搾り出された言葉に、俺はやっぱりなと息を吐いた。

最近のお前等、なんかいい感じだったもんね。
だからホントは覚悟してた。

て、ゆうかアイツが青道に来るって言った時から、こんな日が来るとは思ってたけど。
でもお前だけは、と信じたかったのも確かな事。

だから泣いてわめいてお前の胸を叩いたって良いはずなのに、ああ嫌になっちゃうな。
こんな時でも俺の顔は笑ってるみたいな表情を作る。

それと同じで口から出るのは強がりばかり。


「バーカ、仕方ないじゃん」


心変わりなんてよくあることだし。
自分に言い聞かせながら見上げれば、苦しげなお前が目を背けた。


……何さ。

いつだって俺を見てくれて、いつだって両手を広げてくれたのに。
もうこっちを見る事すらしないんだ?

そのくせこっから離れることすら出来なくて、もじもじ下なんか向いちゃってさ。
大人しくフラれてやってんのに、これ以上俺に求めんなよ。

その態度にムカついて、絶対こっちからは折れてやんない、って思ったけど、結局これ以上惨めになりたくなくてお望み通りしおれた背中をバンと叩いた。


「いいから行きなよ。待ってんだろ?…アイツ」


今度こそ意図的に笑ってやれば、お前は泣きそうな顔のまま「悪い」と小さく呟いて、背中を向けて走っていく。
その後姿をポケットに手を突っ込んだまま見送って、俺はつま先で砂をざりと掻いた。


…あーあ。

散々好きだの何だの言ってたくせに。
結局お前もアイツのものになるわけだ。
ゲームもジュースもテレビ番組も、ポジションさえも無邪気に俺を脅かす春市のものに。


…それとも、俺も素直になればいいの?
アイツみたいにこれが欲しいと。絶対欲しいと願えばいいの?

それでいいなら幾らでも言うよ。こんな風にさ。


「ねぇお願い。俺の事を愛してよ。愛してよ愛してよ愛してよ…………なーんて、」


独りぼっちで呟いたって、何の意味もないのにね…。





-オワリ-





エムブロさんのバトン倉庫から借りて来ました、『繰り返す言葉のお題』の一つ目です。
誰か、と付き合っていた亮介さんですが、はるちに心変わりされてしまうというお話…。拍手向けじゃなくてすみません!
誰かはご自由に!


ご来訪ありがとうございます!

2010/6/26 ユキ☆


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