* お題他 *
□『バカップルへ30題』
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亮介高1、はるち中2ぐらいの亮春。
春市しか出て来ません。
* 20. 留守電 *
風呂上りの午後十時。アイスを銜えながら部屋に戻ると、携帯の着信ランプが点滅してた。
誰?と思いながら手に取って、ベッドに仰向けに寝転がるとパカリと開ける。
確かに家族旅行で撮った山の麓に、電話マーク。着信一件。留守電も一件。
わざわざ伝言残すなんて、律儀だなぁ。
と、どちらさんかに感心しつつ、俺は着信履歴をぽちりと押した。
「……!!」
がば!と勢いよく起き上がり、携帯画面をまじまじと見る。
“亮介”
何度見ても、着信履歴の一番上にはよく知ったその二文字。
去年東京に行ってしまった二つ上の兄の名に、赤くなったり慌てたり。それが最新の着信なのかやっぱり何度も確認する。
……間違いない。今さっき、チョコとバニラで迷ってなければ間に合ってた筈の時刻。これがまさにタッチの差。
「え、えええ〜…」
掛けなおしたいのは山々だけど、寮生活をおくってる兄貴には、そう簡単に電話なんて掛けられない。
だからこそ、コール一回で出たかったのに…。
がっくりと肩を落とした目の端に、留守番電話の“1”の数字が入り込む。
それに俺は頬を緩めた。
…まぁいっか。
電話には出られなかったけど、履歴を見る楽しみ、待つ楽しみ、留守電を聴く楽しみ。
一度に三回もドキドキ出来る。
そうだ。この留守録は取っておこ。
気を取り直し、俺は再生ボタンに指を乗せた。
-オワリ-
文の関係上、はるちの携帯には“亮介”と名前で登録されてることにしましたが、実際には“兄貴”って登録してそうな気がします(笑)
2009/2/26 ユキ☆
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