* お題他 *

□『本音』
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御幸視点・御→←亮?
押し倒されたー :御幸に亮介さんが自分の部屋で押し倒されたときの反応は→動揺して顔を赤くする

をお借りしています。
自分の部屋じゃなくて御幸の部屋ですが…^^








きっかけは些細な事だった。

亮介さんが凭れているベッドの上に放置していた雑誌を取ろうと腕を伸ばし、滑って諸共ベッドに倒れるという冗談みたいな状況にすぎない。
でも慌てて起き上がろうとした俺の下の彼の人は、キレイな笑顔でチョップをくれるどころか動揺したように目を逸らした。

相手が少し慣れた女の子なら戯れにじっと見上げてキスを誘ったり、俯いて俺の服の裾を握ったりするもんだけど、この人相手にそんな夢みたいなシチュエーションありっこない。
でも頬の赤みと落ち着かない目線に想い人の本音が見えた気がして、あえてそのまま手を伸ばした。

俺が動いたことにより、動揺していた亮介さんが我に返る。


「…で!?いつまで乗ってんの?」
「すんません。この雑誌取りたかったんです」
「ならさっさとどいてよ」


眉根を寄せてぐい、と体を押してくる亮介さんの手を握る。
調子にのって付け込んだ俺に、そう来るとは思わなかった亮介さんが弾かれた様に顔を上げた。

引っ込められる前に、にっこり笑って手の甲に口付ける、

と。


「痛ぇ!!」


沢村にしてる以上の力で手刀が叩き込まれた。


「この…!バカじゃないの!?」


照れというより怒りに燃えた目で睨まれて蹴りどかされる。
うーん。やっぱ無理だったか。


「すんません。亮介さんが綺麗だったもので」
「御幸には気をつけろって春市に伝えとくよ」


冷静に立ち上がったようでいて、少し動作が焦っている。
そそくさと逃げられる前にもう一度手を握り、これ以上ないぐらい真摯に見上げた。


「俺が亮介さんだけだって知ってるでしょう?」
「…そんなこと言ってる暇あったらスコアブックでも読んで勉強したら?」


手を振り払い立ち去る人を見送って小さく舌打つ。
好きだ好きだと言い続け、時々部屋に来てくれるようになったけど相変わらずのつれない態度。


「ま、嫌われてはいなそうだけどね…」


とは言えこちとら健全な高校生男子。
好かれてるはず、なんてはっきりしない現状に満足出来る程お子様ではないのだが。

少し強引に迫るには自信と確信が足りないんだから仕方ない。





「…ま、それはそれとして、」


つい手を出して警戒されてしまった分の信頼を取り戻さないことには、二度と部屋に来てもらえない。


ストイックで難攻不落な想い人の命令を守るべく、仕方なしに腰をあげた。






――→ 亮介さん Ver



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