短編
□企みU
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真選組鬼の副長 土方 十四郎は眼を覚まし、傍らにいる愛しい人物を抱き締めようと、手を伸ばした。
「ん、… ん…」
いない・・・
蒲団を蹴り飛び起き、今度は勢い良く襖を開けた。
「銀時ィィィイイイ!」
「あ〜ぁ。朝からウザすぎまさぁ。土方さん。」
万事屋のソファーに沖田は座り、土方を見上げる。
「なーんで!!!総悟ぉ!お前がいんだよぉお!」
「細けぇ事は気にしない方が、いいですぜぃ。それより、土方さん。旦那を探してんでしょ?」
「… はっ!そうだ!銀時は?」
「旦那なら、隣りの旦那と浮気してやすぜぃ。」
「ぬーわぁにぃぃいい!!!」
鬼の形相で万事屋を出る土方。
「悪りぃなぁ。朝早くからよ。でも、何っても回覧版を早く、回さねーとうるせぇからよ。ババァ共が。」
「いいです坂田さん。私は早起きなんで。お花のお世話もありますしね。」
ニッコリと笑うが、何故か怖い屁怒絽。
「んじゃ。」と、手を挙げ様とした時 ガシッと掴まれた。
「痛っつつつつ!!!何しやがんだぁああ!このボケェエ!」
「テメェこそ何してやがる!こんな朝っぱらから!」
あーぁ… 瞳孔開いちゃってるよ… ものっそい… 不機嫌だよ…
「回覧版を回しに来ただけだろーがぁあ!何か問題でもあんのかよぉお!ってか、止めてくんない俺がいないだけで、探しまくるの。テメェ、キモイよ。キモ過ぎんだろ。」
「んだとぉお!」
俺はなぁ… 朝起きたらまず、可愛い銀時を抱き締めてだなぁ… それから… キスしてだなぁ… あんなことや… こんなこと… 色んなことをしてだなぁ…
にやける土方。
「だーかーらぁあ!そうゆう所もキモイんだよぉぉおお!!!」
銀時は思いっ切り土方を蹴り上げる。見事に宙に舞う土方。
「ハァ… ハァ… そのまま永遠に舞ってろ。ったくバカネーズめ。」
銀時はスタスタと万事屋に帰る。残されたのは哀れな土方と屁怒絽。
玄関を開け中に入る。
「たでーまぁ。」
「旦那ぁ。お邪魔してやす。あれぇ?土方さんは?」
銀時はチラッと沖田を見て「知らねー。」と答えた。
押し入れを開ける銀時。
「やっぱり此処か。お前は好きだなぁ。定春が」
くしゃりと小さな生き物を、優しく撫でる銀時。
「…んっ… クソッ!あの野郎!」
土方は頭を振り躯を起こした。
「あの… 大丈夫ですか?」
「あぁん!」
土方は屁怒絽を睨み付けるが、少し距離を置く。
何度… 見ても… 慣れねー っうか… 慣れたくねー。
「銀時は?」
「坂田さんなら帰りましたよ。」
「あぁ… そうか。すまねーなぁ。朝から騒いじまって」
「いえいえ、構いません。」
「それと、坂田じゃねー。あいつは土方だ。」
「あっ! そうでしたね。すみません。土方さん。」
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