短編

□企みU
2ページ/14ページ



真選組鬼の副長 土方 十四郎は眼を覚まし、傍らにいる愛しい人物を抱き締めようと、手を伸ばした。


「ん、… ん…」

いない・・・


蒲団を蹴り飛び起き、今度は勢い良く襖を開けた。


「銀時ィィィイイイ!」

「あ〜ぁ。朝からウザすぎまさぁ。土方さん。」

万事屋のソファーに沖田は座り、土方を見上げる。


「なーんで!!!総悟ぉ!お前がいんだよぉお!」

「細けぇ事は気にしない方が、いいですぜぃ。それより、土方さん。旦那を探してんでしょ?」

「… はっ!そうだ!銀時は?」

「旦那なら、隣りの旦那と浮気してやすぜぃ。」

「ぬーわぁにぃぃいい!!!」

鬼の形相で万事屋を出る土方。







「悪りぃなぁ。朝早くからよ。でも、何っても回覧版を早く、回さねーとうるせぇからよ。ババァ共が。」

「いいです坂田さん。私は早起きなんで。お花のお世話もありますしね。」

ニッコリと笑うが、何故か怖い屁怒絽。

「んじゃ。」と、手を挙げ様とした時 ガシッと掴まれた。


「痛っつつつつ!!!何しやがんだぁああ!このボケェエ!」

「テメェこそ何してやがる!こんな朝っぱらから!」


あーぁ… 瞳孔開いちゃってるよ… ものっそい… 不機嫌だよ…


「回覧版を回しに来ただけだろーがぁあ!何か問題でもあんのかよぉお!ってか、止めてくんない俺がいないだけで、探しまくるの。テメェ、キモイよ。キモ過ぎんだろ。」

「んだとぉお!」


俺はなぁ… 朝起きたらまず、可愛い銀時を抱き締めてだなぁ… それから… キスしてだなぁ… あんなことや… こんなこと… 色んなことをしてだなぁ…


にやける土方。


「だーかーらぁあ!そうゆう所もキモイんだよぉぉおお!!!」

銀時は思いっ切り土方を蹴り上げる。見事に宙に舞う土方。

「ハァ… ハァ… そのまま永遠に舞ってろ。ったくバカネーズめ。」

銀時はスタスタと万事屋に帰る。残されたのは哀れな土方と屁怒絽。


玄関を開け中に入る。


「たでーまぁ。」

「旦那ぁ。お邪魔してやす。あれぇ?土方さんは?」

銀時はチラッと沖田を見て「知らねー。」と答えた。


押し入れを開ける銀時。


「やっぱり此処か。お前は好きだなぁ。定春が」

くしゃりと小さな生き物を、優しく撫でる銀時。





「…んっ… クソッ!あの野郎!」

土方は頭を振り躯を起こした。


「あの… 大丈夫ですか?」

「あぁん!」

土方は屁怒絽を睨み付けるが、少し距離を置く。


何度… 見ても… 慣れねー っうか… 慣れたくねー。


「銀時は?」

「坂田さんなら帰りましたよ。」

「あぁ… そうか。すまねーなぁ。朝から騒いじまって」

「いえいえ、構いません。」

「それと、坂田じゃねー。あいつは土方だ。」

「あっ! そうでしたね。すみません。土方さん。」








次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ