短編

□愛しさを込めて
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俺は… 俺は…



ついに… ついにぃぃいい!!!!


やったぞぉぉおお!!

やっぱり、俺達は出逢う運命だったんだ。


俺の腕ん中に… そして… 一つになる…


運命だったんだよなぁぁああ!!!!!


俺を待ってたんだろ… ごめんな… 長い間… 待たせちまって… さぁ… 一緒に帰ろう…









愛しの                                              超限定スウィーツ‡苺タルト――――――――――――――――ォオ!!!





銀時は頬摺りしながら、涙を流す。



「やっと、逢えたね。ム〜チュッ」

箱にキス。


俺がどれだけお前を手に入れるために、苦労したことか。


キモイオヤジ共に尻を撫でられ、愛想笑いして飲みたくもねー酒まで飲んで…


俺は… 俺はぁああ!!!お前のために…頑張ったんだよぉお。


銀時は肩をポンポンと叩かれ


「お嬢さん。悪りぃが… それを譲っちゃぁくれねーかぁ。」

ん?お嬢さん!?後ろを振り返れば、憎らしい程の男前が額に汗を掻き、肩で呼吸をしている。


ιιιιιιヌッオォォォオオ―――――――!!!!


ひ… 土方ァア!!!ヤバい!!


「さっき、店の人に聞いたら最後の品を買ったのは、お嬢さんだって教えてくれてよぉ。… 勝手な願いだとは解ってんだが… その菓子を譲って貰えないだろうか?」


銀時は今、女の着物を着て綺麗に化粧をした… 通称パー子。


超限定スウィーツの為だけに、オカマバーでバイトをしていた。勿論、恋人の土方には内緒で。


神様… これはどうゆう罰ですかぁあ!


どーしょう…


何も答えない銀時(パー子)を、心配そうに覗き込んだ。


漆黒の瞳が間近にある。


ズッザザザ―――――――――!!!


銀時(パー子)は物凄い勢いで後退る。


「すまねー。驚かせちまって。」

心臓が飛び出ちまうかと思ったわぁああ!!!バカヤロォオ!


でも… コイツ?気付いてないのか…?


「お侍さん… あの〜」

警戒しながら、土方に喋り掛ける銀時(パー子)


「いきなり譲ってくれなんて言われたら、都合いいよな… すまねー。」

「いえ… 」

やっぱり… 気付いてねー!これは、逃げ切れる?


「お侍さんが食べるんですか?」

「いや、俺じゃねー。」


そうだろうよ… そんなに汗掻いて…必死になって…


「これは… 私も凄く楽しみにしていて…」

そうだよ… すんげー楽しみにしてたんだよ…




   『なぁ、これ食いたい』


    『・・・・・・・・』


    『土方ぁ…なぁ…』


     『あぁあ!うっせなぁ!俺は今、仕事中なんだよぉお!!!見て解っんだろっがぁあ!食いたきゃ自分で買えやぁあ!!!』 


    『あーぁ!そうかよぉお!もういいわぁ!テメェ何て、仕事しながら死ねぇぇええ!!!』


思い出しても胸糞悪りぃ!!!


俺には、買えねーで誰のためにそんな、必死こいてまで欲しいんだよぉお!どーせ、どっかの綺麗なお姉ちゃんか、お偉いさんの娘かなんかのためだろ!


この仕事人間めぇぇええ!


ぜってー、やらねー。


「無理だよなぁ… お嬢さん。気分を害したんなら、本当にすまねー。」

ケッ!気分を害するどころか、テメェを今すぐにでも八つ裂きにしたいぐらいだぁよぉお!!!銀さん――――!!!


「すみません… 他を当たって下さい。」

銀時は丁寧に頭を下げた。


「いや、いいんだ。俺が悪かったから…」


ざまぁみろ。テメェが怒られようが、立場なくなろうがよぉ、知るかぁあ。


「… 怒るだろうなぁ… 銀…」

そうそう、怒られ… ろ…って… ぇぇええ???今、なんとぉお!


「食べたがってたからなぁ… 」

「あの〜。銀って?」

土方は恥ずかしそうに 恋人… と答えた。


「仕事がちょっと…忙しくて構ってやれなくて… でも、アイツなら解ってくれるって… 自分のエゴなんだけどなぁ。」

土方は煙草に火を点ける。紫煙を吐き出し 仕方ねー と呟く。


「ねぇ。お侍さんの恋人ってどんな人?」

「ど… どんなって」

土方は綺麗な黒髪を掻き上げ、照れくさそうに答える。


「口は悪くて、喧嘩ぱやいし、人の話しは聞かねーし、でもなぁ… 真っ直ぐで折れねー、綺麗な魂を持ってる。そんでよぉ、甘味を食べてる時の顔… がまた、堪らなくいいんだよなぁ… 逢いてぇ…」


恥ずっ、恥ずっぅうう――――ぅう!何なんだよぉお!コイツゥゥウウ!


「今からの時間じゃ、何があっかなぁ?」

銀時は土方に箱を押し当てた。


「んなぁ!?」

「これで、恋人の笑顔を見て下さい。」

「お嬢さん。それは、いけねー。」








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