短編

□ホワイトデー
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この怪しい微笑みは何処かで…見た…ものっそい近くにいるよね… 悪魔… の微笑み…


「テメェはよ!何が言いてぇんだよ!」

「う〜ん…何てゆうかさ…興味が湧いたってゆうか…だって一応…お兄さんは俺が殺していい相手でしょう?そのお兄さんの想い人って…どんな男かと思ってさ」


「やっぱり…殺されるのは変わんねーんだなぁ!だけどよ!どんな相手だろうがぁあよ!テメェには関係ねぇだろ?」

「だからさぁ…興味本位!神楽は知ってんの?」

「何でここで神楽が出てくんだよ!!!」


「一応さ大事なぁ妹だしね…余り不毛なら…教育上の問題「はぁあん!!!!テメェの口からそんな言葉が出るとはなぁ###銀さんビックリだよぉお!コノヤロ―――ォオ!」


「で!どんな人なの?」

コイツはぁあぁ!!!何でそんなに爽やかに笑顔作れんだぁあ反則だろうがぁあ!

逃げられないと観念した銀時は、深い溜め息を吐いた

「話したら…帰ってくれる…神威くん?」

コクコクと頷く…相変わらず憎たらしい微笑み


殺してぇぇぇええぇ!!!


「なんつーか…その…かなり男前つうかぁ…」


銀時は天井を見上げ愛しい人を、想い浮かべる


「黒いんだけどよ…眩しくて…吸い込まれそうでよ…ヘタレなんだけど…最後には決めてくれるし…俺が一番…欲しい言葉を…くれる…」


神威は黙って聞く


「アイツは…俺にとっちゃぁ…特別なんだよ…」


言わないで…


「それによ…唯一…背中を預けられる…存在かな…」


もう…それ以上…聞きたくない…その口から…他の…人の事な…ど…


神威の躯が震える…自分でも理解出来ない…熱い物が…全身を巡る…熱くて…焼けて死んでしまいそう…


こんな感情は…知らない…知りたくない…知ってはいけない…なのに…熱くて…キケン…だと…全ての細胞が信号を…送る…


《ガターン》

気付けば、神威は銀時の首元に手をあて今にも…へし折ってしまいそうな殺気


「オイオイ!神威君…テメェが聞きたいつーからよ…喋ってんのに…どうしたぁ?」

紅い瞳は神威を優しく見る

逃げようと思えばこの白く綺麗な人は…逃げれるのに…ピクリともせずに…優しく笑う


「それなら…その人が居なくなったら…お兄さんは…どうなるの?」


射抜く様な神威の眼差し…銀時もまた同じ眼差しで


「アイツが…居なくなったら…ねぇよそりぁ」


「人は何時か死ぬよね…それは早いか遅いかなんて…分かんないけどさ…」


「アイツが死なねーて事じゃぁなくてよ…俺が…アイツに生かされてんだよ…だから…本当に俺を…殺していいのは…ただ一人…ごめんね…神威君じゃ…無理なんだよね…俺を殺るのは…」


ギリギリと音がする程に、歯をくいしばる。そうでもしなければ銀時の首を…絞めそうで…


紅い瞳を見詰めれば…あの日のような鋭く輝く光りが宿る


欲しい…欲しい…太陽に嫌われた…俺に…その綺麗な光りは眩しすぎるけれど…






欲し………い…







ねぇ…お兄さん…

もし…も…その黒い光りを…俺が…





俺…が… 消したら




白く輝く…綺麗な…


貴方は… 俺を…










殺しに… 来てくれる…







どちらかが… 命尽きるまで…







それとも… 俺を…


恨んで… 憎んで…


貴方の… 中に…




ずーと…



俺を… 写してくれる…か…なぁ…








ねぇ…銀時…







暫く、沈黙が続き…先に口を開いたのは…銀時


「やっぱ…兄妹だなぁよく似てらぁ!この髪質もそれに、駄々こねるとこもよ!」

神威の頭をポンポンと叩き、フワッと抱き締めた


銀髪から甘い香りがする。


「ねぇお兄さん…」


「何ですかぁ―!神威くん!」


クルリと銀時から向きを変え、自分が持って来たマシュマロを手にした


「食べてよ!折角、持ってきたんだしさ」

銀時の唇に押し当てる


警戒しながらも、銀時はマシュマロを、受け取ろうと口を開けた


「…んん…なっ…はぁあぁ…」


紅い瞳は見開かれ、スカイブルーの瞳に見据えられる…

舌を絡めマシュマロを、転がせば口の中の熱でトロトロに…溶けお互いの中で…混ざり合い…厭らしく音を立てる

銀時は思い切り、神威の脇腹を蹴り上げた

神威は床へと転げ落ちた

「テ…テメェ!何しやがる…はぁ…はぁ…」

口を拭う銀時…その姿さえも…神威を興奮させる


神威は口を舌で舐め回しニヤリと…不適に笑い

「やっぱり…お兄さんを殺していいのは…俺だよ…誰にも譲れない…」

スッと窓辺に向かい振り向かず

「また、来るからね…銀時さん」

「はっ!二度とくんじゃねぇ―――!」





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