短編

□お互いの気持ち
2ページ/5ページ



「きっと 飼い主が見つかりますよ! お客様は皆さん、お優しい方ばかりですから」

「良かったなぁ お前」

愛おしむように、子猫を撫でる 銀時

狂死郎も、銀時の懐にいる子猫を、覗き込む


傘で隠れているせいか、その二人の姿はまるで、口付けをしているかの様に、みえた








煙草が、地面に落ちる

あの白い人物は、紛れもなく 坂田 銀時 万事屋…

こんな所で、何してやがる!

アイツは誰だ

いつも通りに、オイテメェー!と、声掛けたっていいのに…
足が竦んで、前に出ねー!

それによ、何だよ!その嬉しそうな面は
俺にはょ いつも、馬鹿にしたような、眼付きで 蹴り入れてくるしよ

パフェ奢れって、後付け回したり

不意に肩組まれて
俺が、どれだけ心臓バクついたかよ!

テメェーは知らねーだろ!?

アイツ俺の名前まともに、呼んだこと…あったけ…



ねぇな



ェッェェエエエーー!

ちょ!ちょ!ちょっと待って!待ってーーーーィ!

何かおかしくないか
これじゃぁ まるで俺が、アイツの事、好きみたいじゃねぇかぁぁあー!


ォィォィォィオーイ!

ナイナイナイナイナイって!

それは、ぜってーーーーぇナイ!




イヤ!好き


何なんだよ…気持ちに気付いて 失恋ですかぁー!ゴラァアア!


でも、その方が良かったのかもしれない

気持ち伝えたらきっと アイツは、俺を気持ち悪がって、一生…笑いもんにされんのが…オチだ

もう…俺に触れてこねーかもしんねぇ…から


そんな事になったら……………俺は……立ち直れないかも…


一人 うなだれる

「土方さん これなんて可愛くないですか?」

「ちょっと!土方さん聞いてます!?」

ハッとし

「えっ? 何だっけ?」

目の前の女の子は、膨れっ面になり

「もう、土方さんが買い物に、付き合えって言うから、来たのに! 上の空で、どういうつもりですか!!!」

「ぁあ!悪りぃ!」

そうだった! 何となく、万事屋に何かしたくて…


何時も、憎まれ口叩くあいつから、違う言葉を、言わせたくて…

買い物に出掛けたはいいが…何を買ったらいいものか、悩んでる時

偶然にも、顔見知りの女に会って、ちょっと苦しい言い訳をして…何がいいか一緒に選ぶ事になって


アイツは、違う誰かに買ってもらうかなぁ

いらねーよな…

俺からの…貰い物なんて…

チッ! 舌打ち

「相手の方は、何がお好みなんですか?」

好み? 好みはそりゃぁ 甘味

「甘いもんだな」

「はぁ? 甘い…物ですか?」

「ぁっああ! 甘いもんが、この世で一番好きだな」

ちょっと自慢げに言った

「じゃぁ 土方さんは二番目に なるんですか?その方にとって!」


ガーーーーーーン!!!!

痛いよォーー! その言葉… ものっそい痛い…

「わかんねぇ」

煙草に 火を点け もう、どうでもいい

「悪りぃけどよ! これにするは」

土方は 適当に何かを掴み 勘定を済ませ

「そんじぁ」

女を残し その場を後にする

女が、何か言っていたが 立ち止まらなかった

振り向けないだろ…だってこんなに…

目頭が…熱いのに…

アイツの姿を、探したが…見当たらず…

今し方 買った物を 強く 握り締めた

そして…溜め息


何やってんだろ

俺は


あれから、雨は三日間降り続いた

「ちょっと!銀さん いい加減にして下さい! ダラダラして!」

「ほぇ!? だってよ 暇なんだもん!」


「暇なら、何か仕事を、探して来て下さいよ!」


「…やだ…」

はぁ〜あ! これが雇い主の言葉?

「だってよ!まだ雨降ってるしィ 銀さん天パだから! 髪毛 ボッサボサになってるしィ!」


「そんな事、僕には関係無いですから!」
冷ややかな眼

「なっなな何なんだよーォ!その眼はー!お前には、天パの気持ちなんてわかんねぇだろうがよ!」


ダッダダダダーー!


「ゲッフッ!!!」

「銀チャン! ダラダラしてたら、体鈍るネ!私と、勝負するアル!」

「いやぁ!神楽ちゃん君と勝負したら、銀さんきっと、此処に帰ってこれないから…それに、多分…頭の上に、変なワッカついちゃうからぁー!」

「アチョー!」

「いや!止めろって!」

「僕は!知りませんからね! 大体、昼間っから…ゲッフッ!」

「ダメガネも!勝負ネ」

「何でー!何で僕もなのーーーォ!」

ドタバタ ドタバタ

「テメーェらぁ! いい加減にしやがれぇーーー!」

お登勢の鉄拳食らう三人



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ