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□クリスマス(後)
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「副長ぉ。少し休憩をしては…」


山崎がお茶を机に置く。


「… あぁ… 」



灰皿は山のようになり今にも崩れそうだ。


今日は12月24日で、クリスマス・イブなのに俺は、相変わらず仕事に終われている。



深い溜め息と共に胸が痛む。空けとけよと… 愛しい恋人に言ったものの自分がこれじゃ…意味がねーなぁ…



昔はこうゆう類のイベントなんて、全く興味は無かった。女がプレゼントを強請れば、金だけ渡し好きな物を買わせた。


自分から欲しい物を相手に聞いたり、相手が何をしたら喜ぶか… 何て考えもしなかった…



ひんやりとした空気が、部屋を駆け抜けた。山崎が換気の為に窓を開けた。



「すみません。でも副長ぉ。躯に悪いですよ。」


「そうだな… 」



開けられた窓の外には… チラホラと舞う白い物が…



「冷えると思ったら、やっぱり雪だったんですね。初雪ですね。」


山崎は嬉しそうに雪を眺める。


雪… か… 闇に舞う白… 闇は何でも隠そうとするが… でも、この白は隠せない… 自分の存在を強調させ… 綺麗で…いくつになってもこの白は… 心を捉える… 儚くて… まるでアイツのように…



「逢いてぇ… 」思わず口を吐いて出た…


山崎は窓を閉め



「副長ぉ。今日はその辺で」


呟いた言葉が山崎に聞こえたらしい。土方は頭を掻いた。


「そっ、そうだな。明日でも仕上げるか!」


山崎は小さく笑い。


「大丈夫ですよ。明後日までには、戻って来て下さいね。」


「えっ… !?」


土方は山崎に振り返る。


「だって、副長ならこれだけの書類何て、朝飯前でしょ!!」


にっこり笑う山崎の頭を、ポンポンと優しく叩き



「悪りぃなぁ… 」



嬉しそうに微笑む土方。素早く私服に着替え、屯所を出るが「何か有ったら、直ぐに連絡は入れろ」山崎に伝えた。



土方の背中を見送りながら山崎は思う。

まったく… こんな時位は仕事の事は少しだけでも、忘れて下さい。だけど、副長めっちゃ嬉しそうだったなぁ…旦那も凄いや、うちの副長にあんな顔させるなんて… 楽しんで来て下さいね。








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