A

□嘘。
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「… やっぱ、さ、無理、だわ… 」
「………」
「俺はお前の気持ちには… 応えらんねぇ… 。」


嬉しかったよ。
土方。
お前が俺を好きだと、言ってくれたこと。だって俺もお前が好きだから。


「男同士なんて…
あり得、ねぇ、よ。」

お前を土方を穢したくない…
土方、お前はまっさらでいなきゃなんねぇ。
お前の進む未来は闇なんかじゃなく、光が灯んなきゃいけないから…


「それに俺は、俺、は… お前なんて、好きにならない… から…。」

嘘だ。胸が締め付けられるほどに、お前が好きなんだ。


ふーと、受話器の向こうから土方の煙草を吐く吐息さえも、聞き逃したくない。もうこうやって電話をすることもないから。


「わかった。」
一言だけいい、切れる電話。


ツー、ツー、となる音を俺は聞いて…


好きだよ、お前が土方、土方、


聞こえる筈もない受話器に話し掛けた。

始まらなければ終りは来ない。これでいい。


静に受話器を置き喉の渇きを訴える躯。水を飲もうと台所へと進めば… 人の気配に気付く。


銀時も気配を消し玄関に近付けば。


「俺だ。開けろ…」
生唾がごくりと大きな音を立て喉を通る。


なん、で、?
さっき電話で、わかったって、


はっと気付く鍵を掛けていないことに。 閉めようと動いたが、扉は簡単に開けられた。


雲の切れ間から月が顔を出し、闇が灯りを点した。


煙草の朱が土方の顔を映し出す。
躯が硬直し動けない。状況が上手く飲み込めなくて。


大きな手が自分へと延びてくる。逃げなきゃ、咄嗟に思ったが遅かった…


抱き締められる躯。
土方の匂いにドキドキして、
頬を両手で包み込まれ、顔がどんどん近くになって…


唇に柔かな物が重なって…
駄目だ、突き放せばいいのに… 出来なくて…。

唇を割られ舌が縦横無尽に動き、息をするのも許されず。


「ん、… はぁ、」
甘い声が漏れた。


その声に満足した土方が漸く銀時を解放した。

お互いを繋ぐ糸を指に絡め、銀時の唇をなぞる。


息が揚がりズルズルと、床にへたり込む銀時。土方も同じように目線が合う、位置まで腰を降ろした。


「銀時、今日は何月何日だ?」
「は…?し知るか!俺はちゃんと言ったよな。何しに来たんだよ!」


銀髪をひと撫でし土方は


「くっく、今日は4月1日だ。」
「だからどーした?!」
「一年で一度だけ嘘吐いてもいい日なんだよ。」

「知ってし。」

「だから、銀時。お前が言った総ては… 無効だ。」


無効?!





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