A

□傘。
1ページ/3ページ



天気予報が当たった。空を見上げれば大粒の雨が降り注いでる。屋根に落ち激しい音を立てる。


よりによって3日間、降り続ける何て勘弁してくれ。


「よく降りますね。」
「… あぁ、」


洗濯物乾かないやと、新八がぶーぶー言って。定春は散歩に行けず床にベッタリと寝そべり、ソファーで腹を出し退屈だと、神楽が呻いてる。


「あれ?銀さん。出掛けるんですか。」
「あぁ、ちょっと用事を思い出した。」

早く帰って来てくださいねと言う、新八の言葉には返答をせずに階段を降りた。

傘を差し歩くが人通りは疎らで、これが雪ならテンションも上がるが、雨となればどーしてこうも暗くなるのか不思議だ。


水溜まりを避け歩く。普段なら雨の日はなるべく外出はしない。何故ならこの天パが、うねうねしやがるからだ。


左手に持つ傘を視て、返しに行くだけだ。いつも行く居酒屋は夕方からだが、店の前の傘立てに入れとけば、あいつも気付いて持ち帰るだろう。借りっぱなしっつっのも嫌だしよ。

早く傘を置いて帰ろう。早く、早く。


「土方さん。雨が、」
「… あぁ、そうだな。」


ありゃ、あれは。


別嬪さんが土方の濡れた肩を拭く。


銀時は2人が出てきた建物を、少しだけ視てから回れ右。傘は捨ててしまおう。うん。そうしよう。

「おい。万事屋。」

こちらに走ってくる靴音がする。バシャバシャと水を弾きながら。


「土方さん。傘を…」


俺の傘に入るなり

「要らねぇ。傘はある。」


肩を並べてきた。

「いいのかよ。」
「んあ、何が?」


銀時が顎で後ろをさす。土方は、いい。嫉妬か?と言い煙草に火を点ける。


ふざけんな!そうだ丁度良い今傘を返して、帰ろう。

「土方、か、」
「昼飯は?」
「え?」
「食ったのか?」
「いや、まだ… 」
「じゃぁ、どっか入るか。」
「おわぁ!おい!引っ張んなって。」


あれよあれよとゆうまにファミレスだ。
何故だ!俺は傘を返しに来ただけなのにぃ。何でこいつと食事しなくちゃなんないの!


「好きなもん食えよ。」

言われなくても。
一番高いやつ食ってやる。


「あー、さっきのは仕事だ。」
「へ?」
「聞き込みでな、あの女は何でもないから… 」


ぼっと土方の顔が赤くなる。つられて俺もぼっ。


まぢで勘弁してくれぇぇぇ!




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ