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□新年会。
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ぴっちゃ、

ぴっちゃ、

耳障りな音で目が覚めた。

ゆっくりと瞼を押し上げ、愕然とする。
冷たいコンクリートで固められた部屋には、光が僅に入るだけ。鼻を付くカビ臭さに嘔吐がする。

両腕を高く吊り上げられ、躯は浮き爪先がほんの少しだけ、地面に着く状態だ。

キツいな…。拘束されている物が外れないか試みるが、虚しい音と躯の苦痛だけが残る。

ああ、簡単にはいかねーか…。当たり前だが人間何でも挑戦したがるってもんでしょうが!まぁ、監禁すんなら生温い拘束なんてしねーな。俺だって反対の立場なら、もっとすんげーことしてる自信がある。

生半可な生き方はしてねーし、ましてや真っ当な人生を送ってきたとも、言い難い。

はは、こんな時に冷静に物を考えるなんて、場馴れしてる自分に嫌気が差す。どんな事をされるやら、先ずは相手の出方を伺うしかない。俺は囚われの身ですから。ククッ…、

「何がおかしいんだ?」

顔を上げ見据える先には
「けっ、てめぇか。」

吐き捨てるように言い睨み付けてる。
煙草を吹かし半笑いで俺を見るのは、真選組 鬼の副長さんだ。

「何が?おかしいかって?く、はは、おかしいことだらけだろがよ。コレ?!何ですか?」

業と音を立て拘束具を鳴らす。

「意味わかんないんですが?無駄に税金使うんじゃねーぞ、コノヤロ!」

紫煙を揺らし鬼が近付いてくる。

「言い眺めじゃねーか?万事屋。」
二の腕をなぞられ
「あんなにやんちゃすんのに、結構細ケーんだな。」
「細くて長いんですぅ。脚なんて美脚何だもんねぇ。」

そうなのか、と土方の手が脚に伸びてきたのでヒト蹴り。

「スーパーの野菜みたいに気安く触んじゃねーよ。で、俺をどーしようってぇの?ああ、もしかして俺に遊んでもらいたいの?そっか、土方君。友達いないもんね。遊んであげてもいいけど、コレ取ってね。」

「てめえの舌はよく回るな。この状態でどっちが不利か、馬鹿なてめえでも理解できると思うがな?」
「は?不利?それ美味しいの?どんな味?」
「ふざけんな!」
「おふざけはそっちだろっが!善良な市民を拘束なんてな言語道断だっつーの!早く解放した方が身のためだよ?ひーじーかーた〜クーン。」

やれやれといったポーズを土方は大袈裟にし、銀時の頬を掴む。銀時の後は壁で押さえつけらた背中に、痛みが走る。
土方の指が黒いインナーのファスナーを空け、掌が直に触れ躯が強張る。

「万事屋…、男もいけんだってなぁ。」

土方の言葉に驚き息を飲んだ。
指先はゆっくりと肌を辿り腰のベルトを取り、ズボンのファスナーへ。

「男にしちゃ白いな。」
舌がぺろっと首筋を嘗め上げる。欲情する漆黒の瞳。

「だったら、俺の罪は何になる訳?」
「ふ、何だろうな…。」
意味深に微笑む土方。

「万事屋てめえは、仲間を売ることなんざしねぇ事は知ってる。でも…、今からされることに、てめえが耐えられんならの話だがな。」

必要以上に密着する躯。女ならまだしも男だ。想像するのもおぞましいがどうやらこいつはマジらしい。

「何する気ぃ?ヤダコワイ。」
「ガキ共は…、元気か?」
ガ、キ、
「お前!まさか、」

「さあ、どーだろな。」
俺は何されても構やしねーが、あいつらはダメだ。




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