A

□仲直りにはジャンプを。
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ねぇ、ねぇ、見た?
見た、見た!格好いいよね。
誰か待ってるのかなぁ?

キャキャと若い女子の声が今ジャンプをコンビニで読んでいる、俺のすぐ横で聞こえる。

チラッとジャンプから目線だけを上げ見れば…、ああまあ、随分男前が煙草を吹かし、コンビニを挟んだ向かい側の道に見える。チラッチラと中を伺うように。俺が見ればそっぽを向き、俺が視線をジャンプに向ければ、こちらに視線を向ける。さっきからその繰り返しだ。

昨夜、土方と喧嘩をした。まぁ、喧嘩は俺達にとってコミュニケーション的なモンだから、死ねとか、殺すとか、そういったことは日常茶飯事だ。だけど昨日の喧嘩は何が原因だったけ…、忘れちまった。

土方を万事屋から追い出してから15分後、沖田くんから電話があった。

土方のヤロー、相当参ってますぜと、まあ、まともに逢うのが1ヶ月ぶりっだたからな。そんで明日の巡回ルートを教えてくれた。慌てる土方を見たいんだと言ってた。で、俺は今、隣町のコンビニに居るって訳だ。

案の定、土方は俺を見付けて2度見いや、3いや、6回は見たな。ぷっ、どんだけですか?それから30分ぐらいは経ったかな。途中ジミーが呼びに来たらボコられてた。

あー、腹減った。何か飽きてきた。

ちょと、話し掛けてみようか
そうだね。

そう言えば昨日…、俺はてめぇと違ってモテるしなっと言われた。
確かに。現に隣の女子だってさっきから騒いでる。

知ってるさそんぐらい…。だから俺じゃなくてもいいってこともな。何やってんだか、土方の情けねー面見に来たのに何で俺が、情けなくなってんのォ!!ムカつく!

態々、隣町まで来て土方のモテっぷり見せ付けられなきゃなんねんだよ!!やめだ、やめ!頭をガシガシ掻いて、手に持っているジャンプを…、あ、ぼろぼろ…、ですね…。

買って帰るか!あ、金がなかった、
黙って棚に戻す、定員の白い目は無視だ。

店を出ようとしたら、
「あの、すみません」声を掛けられた。

なんだと思い相手を見れば、爽やかな笑顔の似合う青年が居た。誰だ?

「間違ってたらごめんなさい。もしかしたら、かまっこ倶楽部の…」

かまっこ倶楽部?ジーと男を見て考える。

「すみません。あのー、パー子さんではないですか?」
ああ!思い出した。前かまっこ倶楽部でバイトした時、会社のハゲ上司に連れて来られてたヤツだ。怪物たちに揉みくちゃにされてたっけ。

「よく分かったな。」
「良かった。見た目ではなく匂いで分かりました。」

匂い!!クンクン自分を嗅ぐ。俺臭い?!おかまの匂いでもすんのかぁ?

「違います!甘くていい匂いです。たまにお店に顔を出すのですが、パー子さん居なくて…。」
「ええ!!店に通ってんの?」
「はい。」
「危篤なヤツだな。俺はほんと極たまに駆り出されんだよ。だから、普段は居ないの。」
「そうなんですか。これからお暇ですか?よかったらお茶でも…」

好青年が照れ臭そうに笑う。暇ちゃー、暇だ。あ、こんなことも言われた、俺は危機感がない。男にモテすぎだと。意味わかんねーよ!!俺は男で土方は女って、ふざけんな!

男には女、女には男。よかったな土方。お前には女が似合いだ。それともう1つ。お前の言ってる事が当たってよかったな。俺は男にモテるって事。

土方の居た場所を見たが姿はなかった。
男の後を着いてコンビニを出る。

「何してンだてめえ!」
あーあ、瞳孔死んでますよ。
「お巡りさんに捕まるような事はなーんにも、してませんが?」

手首が千切れるんじゃないかと思うくらいに握られてる。いてーよ。馬鹿方。

「お前の言った通りだわ。お前は女にモテるって事。は、女とヨロシクやれや。」
「で、てめぇは男とか!!」

ムカつくのでおもいっきし頭突きを咬ましてやった。

「うるせぇ!離せや!」
「来い!」

物凄い力で引き摺られる。どんなに抵抗しようが手を、離してくれる筈もなくそのままズルズルと、路地裏へ。壁に押し付けられ、土方の拳が俺の顔スレスレの壁を抉る。土方が顔を上げる。

何だよ…、その面…、お前は女と、
「俺はお前じゃなけりゃ…、幸せに何てなれねーよ。なれねーンだよ。」
「……」知ってる…。お前がどんなに俺を好きかなんて、でも…、俺がそれ以上にお前を好きだなんて…、知らねーだろう。

土方が俺の目の前に差し出す袋に、さっきまで見てたジャンプが入ってた。たく、この男は、

「ぼろぼろじゃねーか!」ジャンプの角で頭をドツイた。
「痛ぁ!お前が読んでただろうが!」
「これだけ?餡まんとイチゴ牛乳ぐらい買って来いや!気が利かねー野郎だな。」
「後で買ってやるよ。」
「は?今夜来るつもりなの?」

「大丈夫だ。子供らは帰らないって。」

あいつらぁ!買収されやがったなチキショウ!

「それだけじゃ、許さねーからな。」

ああ、大きな戌が喜んでら…。今夜は眠れる気がしねーな、






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