A
□紙飛行機。
1ページ/1ページ
クリスマス限定ケーキ祭り、とゆう広告を紙飛行機に変え飛ばした。窓を開けるとチラホラと白いものがちらついて、今度は躯をすぼめながら窓を閉めた。
テレビで言っていた今年はホワイトクリスマスになるだろうと。当たりやがった。テレビを点けてただ画面を見詰めるだけ。
よし、飲みにでも行くか!
あっ、先立つモンがなかった…
よし、甘いモンでも食うか!
あっ、冷蔵庫、カラッポだった…
何で俺…、独りなんだろう?
神楽は、クリスマスパーティー兼お泊まり会。
新八は、お通ちゃんクリスマスライブ。
で、俺は…、さっき紙飛行機で飛ばした紙に目をやる。相手が仕事なら仕方ない。随分昔は独り何て当たり前で、周りに一つ二つと…、大事なもんが増えて最後にゃ最も厄介な感情が、俺の心に根を生やしちまいやがった。
もしもこの先アイツに好きな人が出来たら、俺は笑って見送る自信は…、ないな…。あーあ!!チキショー!俺様にこんなにも惚れさせやがって!なのに感じんなアイツは仕事で。
いや、待てよ。世間はホワイトクリスマス。仕事は嘘でもしかして…、ああもう!!女々しい考えはやめだやめ!別に物が欲しい訳ではない。甘い言葉とかそんなんじゃなくて、ただ、アイツの匂いに温もりに包まれたくて…
「奇遇だな、俺も同じだ。」
「不法侵入ですが?お巡りさん。」
「鍵が開いてましたよ。坂田さん。」
仕事は?と聞く唇を塞がれる。冷えた唇。そっと背中に腕を回せばひんやりとした、空気と土方の匂いに包まれた。
「温めてくれんだろ?銀時。」
親爺臭ぇんだよ馬鹿。そんなところも好きだけどね。分かってんのかコイツは?!
「明日、食いに行こうな。ケーキ。」
土方は紙飛行機を指差す。
「それから、」
ぎゅっと目を瞑り震えた。
お前の残りの人生、俺のモンだから…
やっぱり、お前は馬鹿だ。一生大事にしろよコノヤロー!
紙飛行機を視たが多分、明日は蒲団から出られそうもない気がする。
†