A

□誰の?
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「おい、」

声を掛けたが返答無し。もう一度、

「おい、銀時。」


何やら必死で探し物中らしい。押し入れに潜り込み、がさごそと上半身だけ突っ込み、可愛い下半身が揺れている。


ドーンとヤっちゃっていいんですかぁ!おもっくそツッコンで、いいんですかぁ!誘ってんだな。誘ってんですよねぇ!銀時さん!


ないなぁ、と銀時が押し入れから顔を出す。


「あ、土方いらっしゃい。」


へらっと笑うが埃だらけだ。


可愛いぞ畜生ぉぉぉ!

「すんげー、埃。」
服やら髪に着いた埃を落としていく銀時。


お茶でも煎れるわと台所へ向かう、銀時の裾からポロリと何かが落ちた。


ん?拾い上げ… !!こっこれはぁ!近藤さん!じゃなくてぇえ!?コン、コン、コンドームぅ、ぅ、ぅ!


何でこんなモンがあんだよ。それんで何であいつの袖から出てきたのぉ?!おかしい!おかしいよね?

ああ、この間使いそびれたヤツか。そうかそうか、…って、俺は一回も使用したことなんてねーよぉ。


ああ、あれか銀時が俺に使って欲しいとか?おお!サイズ合わねーしぃ!自慢じゃないが俺のは、普通のじゃ無理だからぁ!銀時も知ってし。


銀時の… か?まさか!自分用?相手用?どっちだぁ!


俺のじゃ嫌なのか?いや、そんなことはない。奥の方を抉ればきゅーと絞まって、気持ちいいと哭くし…


「はい。お茶。土方、おい、土方ァ!」
「は、あぁ…」


ポケットの中にしまいこんだコンドームを、握り締める。


そういやぁ、今日は何か話があるからって、電話もらったんだよな… こいつからの呼び出しなんて滅多とないから…、もしかして!別れ話?!ええ!


は、は、落ち着け!十四郎。落ち着くんだぁ!


「どーした?お前、顔色悪いぞ。大丈夫か?」
「あ、あぁ…。」


大丈夫では有りません!隊長ぉ!心臓が止まりそうな程に早鐘を、打っておりますですぅ!


何の話だ。どーしよう… 別れるって言われたら… どーすんだ。捨てないでぇ。


「て、おい。聞いてる?」
「はぁ?いや、」


聞きたくねぇ!


「何なんだよお前。」


それはこっちの台詞です。何なんだこのコンドームはぁ!


「だから、今度の花見の場所取りだけどさ、」
「あん?」
「花見だよ。花見!」

「…………うん。」
「そっちはジミーを出すんだろ。こっちは近藤を出すから。」


花見?場所取り?


「いいよな。俺等もさこの時期は、結構忙しいんだわ。」


そういやぁ、そんな話をしてたっけ。何だよ。ビックリさせんなよ。あー、マジびびった。でもジミーと近藤?


「ちょっとまて!近藤って近藤さんのことか?」
「あぁ。ゴリもゴリだよ。」
「ば、んなことさせられっか。こっちは山崎出すんだ。メガネ出せや。」
「だからさ、色々忙しいっつたろ。」
「忙しいっていつも暇じゃねーかぁ!面倒くさい事は直ぐに、こっちに押し付けんじゃねぇ。」


たく、煙草を取り出しライターを、ポケットから…


「大体なぁ、こっちは猫の手も借りたいほどに、忙しいんだよ。」

「ほ〜。忙しいね〜ぇ。そりゃ、どんなんかなぁ?土方君。」

「あぁ!」


銀時がひらひらと親指と人差し指で、持つものに土方は固まった。


「ふーん。そっか。そうだよね。うんうん。」


え、え、

「ポケットからこんなん出てくんだもの…、色々とお忙しそうですね。」


たらりと… 厭な汗が伝う。


「い、や、あの…、それ、は」
俺のじゃねー!


「土方よ… お仕舞いだなぁ… 。」


はいいいいいいいい!?

「おし、おし、おし、ふんがぁ!」


蹴り飛ばされ壁に激突。


「っあ!銀、まてちょっと、」
「言い訳かぁ…、副長さん。見苦しい真似すんなよ。」


爽やかに微笑むが瞳が… 笑ってねぇ、

「違うからぁ!ほんとに違いますからぁ!」
「まぁ、愉しかったよ。じゃぁ、な。」

ピシャリと閉められる戸。


「銀時ィ!ほんとにマジで違いますからぁ!聞いてぇ!ねぇ、お願いします!銀時ィ!」



「あっ、マヨラー何してるネ?」
「土方さん、どーしたんですか?」
「ワン!」


翌朝まで土方は万事屋の玄関先で、泣いていた。


「俺のじゃねーよ。俺のじゃねーよ…」

後日、あのコンドームは沖田がこっそりと、銀時の袖に忍ばせた物だったとことが判明した。



「土方さん。もう少し面白いリアクション、頼みまさぁ。けっ、使えねぇ野郎だぜ。」

「うるせぇ!」







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