A
□平等
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「うっ、うめぇ!いやマジで、頬っぺたが落ちちまうわァ!」
「… … 」
「幸せだなァ。」
甘味の誘惑に俺の決意は、木っ端微塵に砕け散り只今、目の前の愛しい物を堪能中だ!!土方はとゆーと、相変わらずキモチ悪い物を、浮かべ啜っている。
じーっと眺めてたら口に運ぶはずだった、スプーンが反れて口端を伝う。
ヤッベ!!勿体ねぇ。舌でペロッと舐めた。ガチャンと音を立て土方がカップを、乱暴にテーブルに置いて。
へっ?どーした!?といった感じで土方を見れば…
「後は好きに食え…」
「え!はア!?」
今度はテーブルに金を乱暴に置いた。
はぁ?ちょっ、何?!急に意味分かんないんですけどォ!
立ち上がる土方の手を掴もうとしたがかわされた。
あ …、れ?
出ていく土方。残された俺と金。頭をガシガシ掻く。
オイオイ…、何コノ金額?!コレじゃまるで俺アイツのヒモじゃん!アイツ… 俺の顔… 目も合わさなかった… 。擦れてきのは、そうだコレだ。
初めはマジで直ぐに喰われんばかりの勢いだったのに、今じゃアイツは俺を視ない…
ヘェ…、そっかァ、なーんだ。興味本意でちょっくら告った感じ?で後に引けなくなっちまったみたいなァ、ばっかじゃねぇ…
分かりやすいなァ。あの男は、喰った女は数知れず、たまには違う種類を、摘まんで観たかったのだろうが、手っ取り早く後腐れがない相手を、見付けんのは骨が折れる… で、俺に白羽の矢がタッタってことか。
だけど俺がナカナカ折れないのに、痺れを切らしてこんな大金を、手切れ金ってかァ!馬鹿にすんのも大概にしやがれェ!
好きだ、本気だと抜かしやがって!ただやりてぇだけじゃねぇかァ!
俺はちゃんと恩は返す派なんで。散々集らせて貰った上にコノ金額だ。上等だァ!最後に土方に華を持たせてヤンよ。
あれから土方から連絡は無い。生きてンのか?死んでンのか?死んでて欲しいけど…
「あっ、旦那ぁ。」
「よぉ、ジミー」
「山崎ですよ!」
「ソンなんどーだっていいだろ?地味なんだから、会話してもらえるだけでも、有り難いと思え!」
「ひっ、酷すぎますよ旦那!ってか、今日は副長と一緒じゃ無いんですか?」
「……」
一瞬の沈黙に山崎が焦った。何か不味いこと言った俺ェ?
「いや、その… 副長は今日、休みで朝早くから出掛けて行ったから、つい旦那の所かと… 」
「ふ〜ん。そーなんだァ。」知らねぇよ。
「旦、な… 」
不安そうに俺の顔を視る山崎の頭を撫でる。
「ンじゃねぇ、ジミー 」
軽く手を振り笑って魅せた。連絡スンのも嫌になったんなら、仕方無い今日で断ち切ってやるか。
夜、屯所の壁をよじ登り侵入。土方の部屋の前へ。音を発てずに障子を開ければ、机に向かう背中が見えた。
気付かないって大丈夫かコイツ?俺じゃなけりゃ確実に殺られてるからねぇ!
風が部屋を吹き抜ける。それを不快に思い振り返った土方と、久し振りに瞳が合った。
加えていた煙草が落ちる。口はポカーンと開きっぱで、あ、瞳孔は… イツモの事だ。
落ちた煙草を拾い口に加え吸い込み、煙を土方の顔に掛けてから、
「土方ァ、やろうぜ…」
厭らしく笑ってやった。未だに口を開けたままで、瞳をパチクリパチクリさせてる土方の肩を押し倒し、跨がるれば更に口をアングリ開けた。面白れぇパニクってヤンの。
黒の着流しの前をはだけさせて、掌で肌に触れる。引き締まったナカナカいい躯だ。帯に手を掛けた所で 、状況を呑み込んだ土方が
「!ッ!ぎん!何シテンだァ!」
漸く声を発した。おせぇっつーのォ!
「はぁ?分かんンだろ?テメェは大人しくしてろ。天国連れてってやっから。」
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