A

□金平糖
2ページ/3ページ



神楽の手を取り駄菓子屋を後にする。腹立たしい、気付いた自分自身に、認めたくない自分自身にも、腹が立つ。でも、一番厄介なのは…、この想いは報われないこと。


だから要らない、優しい言葉とか、生温い前戯とか要らない。ただ突っ込んで出せ、欲だけを吐き出せ、それだけでいい。

「はやく、ヤレや」
「はぁっ、お前が辛ぇだろ?」だから、要らねぇって…
「いいから、」そんな優しさ何て…


腰を掴み一気に奥まで突かれる。苦痛に歪む顔。


「辛ぇか?だから言ったんだ、」
「ッ!あっん、いいって、言ってンだろ… 」大丈夫、苦痛だけじゃ無いから、ちゃんと気持ちが良いから… 。

「もっと、強く、土方ァ、」
「ッウ!くそっ!」
「あっ、あ、ンッアァ!」


土方の汗が俺の上に落ちる。シーツを掴む手を離し、黒髪へ伸ばす。イツモは憎らしい程にサラサラなのに、今は汗ばんでそれだけでも躯は、欲情して、だって、そおさせてるのは俺で、


土方がニヤリと口端だけを上げ微笑する。

あぁ、やっぱり、お前は男前だよ。悔しいほどになァ…。だからはやく、厭きて俺を…、棄ててくれ、遊びを終りにしてくれ、


幸せ色に気付いた俺に、気付かないでほしいから… 。


土方の熱を奥底で感じて、瞼が沈む。だけど今日は聞こえない。瓶を置く音が…、勘の良いお前は気付いたんだなァ…。もう、二度と金平糖が入った瓶を、万事屋で視ることは、出来ない。ごめんなァ…。土方ァ、俺が、気付いちまったから… ごめん。


朝が来れば忘れる。何時も道理に戻れる。今だけ、今だけだから、胸が痛むのは。


朝が来ればきっと、大丈夫、朝が来れば… 大、丈夫ゥゥ!えっ、えぇえぇッ!


今は、何時ですか?!まだ、夜ですか?!何で居るんですか?!


銀時は、何度も瞬きしたり擦ったりし、確認する。


あっ、夢だよねェ?コレ?なーんだァ!居るわけないじゃん!んんッ!


漆黒の瞳が開きお互い、目が合う。固まる銀時。逃げようとしたら、頸をガッチリ押さえられた。土方はもう片方の手を伸ばし、枕元にある煙草に火を点ける。


「ちょっ、おまっ、離せやァ!何でまだインだよォ?」何時もは直ぐ帰んのに、


「あぁ、今日は非番だ。」
「ヘェ…、あっそ、だから?」
「だから、休みだ。」
「違ぇって!休みなのは分かった。だけど、何で居るのか聞いてンのォ!ってかァ!はーなーせェ!」


土方は煙草をギュッと揉み消し、今度は銀時をギュッと抱き締めた。


煙草の匂い、土方の匂い、逞しい胸板に、腕に包まれて、俺の心臓が痛い。


「止めろォ!」こんな優しい扱いすんなァ!辛くなるだけだ…

「テメェッ!いい加減「やっと、気付いた」

抱き締める腕に力が籠る。


「ンッ!痛ッウ!なんに?」


土方は銀時の銀髪に顔を埋め、匂いを嗅ぎながら「幸せ色に… あれは俺の呪いだ。」
「はぁっ、?あれって、呪い?金平糖がァ?」
「あぁ、そうだ。お前が俺を、好きになる呪い。」


はぁああああ!今何っつったァ?俺が、土方を好きになる!!

銀時は口をパクパクさせるだけで言葉が出てこない。土方はそんな銀時を、可愛いっと言い深く口付ける。


「これからは、色んな所に痕付けられんなァ…。俺の痕。」

首筋をキツく吸えば白に映える朱。チュッ、チュッと音を立て痕を幾つも付けていく。


「やめ、ろ、そんなの… ンッ!付けんな…」


昨日の名残でまだ柔かな蕾に、指を這わせば銀時は抵抗をみせた。


「ちょっ、やめ、うわァ!」


土方の指が胎内をまさぐる。グリグリとイイトコロを攻めてくる。


「あ、あ、あっ、やっ、だァ、」


頭を振る、こんな事は初めてで、朝には居ない人物が居て、俺を、また抱くなんて無かったことで、ついていけない思考も、心も…





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ