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ドンドン、 ピンポーン、 ドンドン、 ピンポーン


「あ゛ぁああ!うっせぇなぁ!朝っぱらから誰だよォ!」


銀時は寒さに躯を震わせながら、玄関を開けた。


「朝っぱらじゃないよ。もう昼過ぎじゃないかぁ。」


スッパ−と鼻から煙草の煙を吐き出す、お登勢が万事屋の玄関先にいた。


「ンだよ、クソババァかふざけんなよ、用はねぇから。」玄関を閉めようとする手を叩かれた。


「誰がクソババァだよ。アンタが用がなくても、私にはあんだよ。外視てみな。」


「はぁん!ッたく、外に何があンだよォ。」

銀時は頭を掻きながら、外へ出て辺りを見渡し


「ウォォォォオッ!スゲー!めっちゃ積もってんじゃんかァ!あっ、神楽に教えてやろ。」


銀時が家の中に入ろうとする、銀時の髪の毛をお登勢が鷲掴みにする。


「イダッ!イダダダダァ!ハゲるからァァ!!!!」
「待ちな、用があるって言ったろ。依頼だよ。」
「依頼?」
「あぁ。雪かきのね。」


雪… かき… ですか…


ドサッ バサッ!銀時はスコップを持ち、雪をかき分けていく。


ビューン!ゴロゴロ!神楽は雪を丸め、雪玉を作り遊ぶ。


「神楽ちゃーん!ちゃんと仕事してェ!お願いィィ!」
「してるネ!こうやって、雪を分けてるネ!」丸めて銀時へ投げる。


「ブッハァ!!… 違うゥゥ!そんなんじゃ、何時まで経っても終わンねーよォ!スコップで、こうやって、こうやって… ? あれぇ…?!何か、雪が増えてねぇかァ… 」


銀時は空を見上げれば、ドサッと雪が落ちてきた。


えっ、何でぇ…!


「ありゃ、旦那ぁ。すいやせん。」
「何で沖田くんが居んの!?しかも、そんなんで家に雪掛けたら、潰れちゃうからァァ!!!!」


沖田はショベルカーで雪を掬い、万事屋の屋根の上にのせている。

「潰れた方がいいかと、思いやしてねぃ。」
「馬鹿なこと言ってンじゃねー!困るからァ!銀さん家なき子になっちゃうからァ!」

沖田は銀時を視て


「だから、いいんでさぁ」
「だから、何で?!」
「そん時ゃ、屯所に住めばいいでしょぃ」
「はぁ!何で屯所?」
「嫁だから、…ってザキが言ってやした。」
「嫁言うなァァ!!!!」


銀時は神楽に命令し運転席のザキ目掛け、デカイ雪の塊を投げ付けさせ、壊した。


「あーぁ、せっかく買ったのに… このカードで!」
「俺のカードじゃねぇかぁあ!」


ゴンと沖田の頭に拳骨を入れ、土方は銀時に歩み寄る。


「今年、最後なのによ、随分と積もったなぁ。」
「そうだなァ…。」

土方は目を細め銀時に、付く雪を払い除ける。 その手を銀時はバシッと叩く。


「お前、仕事だろ!」
「あぁ。毎年恒例の初詣の警備だ。今度は俺の番だからなぁ。」


不意に土方の指が銀時の、唇をなぞる。

「… 銀、朝には帰る。」


ッ!止めろ… むず痒いっつうのォ…。


ちょっと前までは、別れ際には またな じゃあなぁ とか、次の約束なんて曖昧で… 、でも今じゃ、土方は必ず 帰ると言う言葉を、使うようになった。


それだけ、俺達の仲が… 変わったとゆうことなのか…


雪かきも一段落し万事屋で、マッタリしていると、お妙と新八がやって来た。時刻は既に夕刻、初詣のお誘いに来たらしい。

俺も誘われたが頚を横に振る。


「銀ちゃん、行かないアルか?」
「俺はいい、コノさみー中何てごめんだ。」
「それじゃ、神楽ちゃん行きましょ。銀さん、よいお年を。」
「あぁ。」
「銀さん、僕も行きますね。よいお年を。」


三人と一匹が万事屋は静まり返る。雪がまた降りだした。暖かい部屋に俺独り…






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