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「銀さん。瞳はクッキリ、ハッキリと開いて下さいよ。」


「はぁっ!ンでだよ!」


イツモの着流しではなく、上等な着物を纏う。ちょっと、窮屈じゃねェ!普段通りでいいじゃん!面倒くさいと首を掻く。


「だって、そんな死んだような魚の目じゃ、相手の方に失礼ですよ!」


新八はメガネを吊り上げ鏡の前に立つ、銀時を上から下へと見下ろす。


オイオイ… 。新八君。君がお見合いするんじゃないから、そんなに力まなくてもねェ…

新八はアーだコーだ言いながら、銀時の着替えを手伝う。万年金欠の我が家、融資してくれるっつうヤツなんて、何年、何十年待とうがきっとコノ話が、最初で最後だろう。


フラフラと漂いながら生きてきて俺だ。ダレかに囚われたりスンのは、本当は好きじゃぁ… 、ねェんだがなァ…

「はい!銀さん。出来上がりましたよォ!うん!バッチリ。神楽ちゃん!視てよ…」


「フーン…。サンキュー。ンじゃ、行きますかねェ。」


「神楽ちゃん!神楽ちゃーん!」
「どーしたァ?新八ィ」

「神楽ちゃんが居ないんですけど… 」
「… まぁ、しゃーねぇ。時間もねーしよォ俺等だけで、行くっきゃねーだろォ!」


「はい、でも神楽ちゃん何処に行ったんだろう?こんな大事な日に… 」


大事な日ねぇ… 、神楽にコノ話をしたら、私、嫌ョ!マミーィは銀ちゃんがいいネ!っと訳分からない事を、言い出しズーッとご機嫌ナナメで… 。


神楽ちゃん、言っときますけどォ…。銀さん男の子ですからァ!マミーィにはナレマセンカラ!

見合いの場所は高級料亭で、如何にも金持ってますミタイナ感じィィ!


暖簾を潜り案内された部屋には、恥ずかしそうに俯く、見合い相手と、父親が既にスタンバイしていた。 あっ、親切な老婆も居た。


手招きされ新八と並んで座る。居心地の悪さに、胸焼けがする。


ペラペラよく動く老婆の口を眺める。いつとまんだァ!新八ィ!止めろ!手で抑えろォォ!!!


女性をチッラと視た俯いたままだが、綺麗な顔立ちをしている。


… あっ…と、もし上手く行って、ゴールインしたら、俺が抱くんだよなァ!当たり前だが!そっち方面はトンと、ご無沙汰で… 。

イヤイヤ!大丈夫!きっと!抱くより、抱かれる方がチョビッと、長かったダケだからァ!

俺の息子さんはマダマダ現役ですからァァ!!! 不意に   『銀… 』ッウ!『気持ち良いかァ?ここだろ…。お前のイイトコロは、なぁ… 。』 ンでッッ!!今、思い出す… クッソ!


土方の熱い吐息に指に、舌使いをリアルに思い出しヤバイ、スンマセンと手を挙げ厠へ。


鏡の中の自分に拳を叩き付ける。苦しいと叫ぶ胸は、無視しろ!寂しいと想う気持ちは… 殺せ!鏡を視れば、イツモのやる気の無い自分の姿が映る。


厠を出て部屋に戻ろうとしたが、何やら聞こえて来る。聞き耳を立てれば、笑いが込み上げて来た。

ナルホド、そうゆうわけですか… 。







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