A

□本当はね…
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    ガラガラ


手を掛ければ簡単に開く扉。静かに閉め靴を脱ぎ廊下を、抜き足、差し足、忍び足。


恋人の部屋の前まで来た。既に額には汗… イツモの廊下なのにトテツもなく長く感じる瞬間だ!


ゴクリと… 生唾を飲み込み襖を、音を立てずに引く。薄暗い中にボンヤリと浮かぶ白。

ヒョッコリと蒲団から覗く銀髪に、爪先だちで近付いて、腰を下ろし撫でる。 ゥーンと小さく唸り、顔が蒲団から出てきた。


ウォォォォ!!!叫びそうになるクチを両手で押さえた。可愛い!ちょっ、何!その寝顔ォォォ!!!反則ですよォ! 不意に銀時がフニャと笑った。


ア゛ァァァァアアッ!!ヤバイからねェェェ!!今のは俺の胸にズキュンでアソコにドッキュンだ!コノヤロォ!チキショー!もっと触りてェ!グリグリにグチョグチョしてェェェ!!


悪魔と天使が土方の中で格闘!悪魔が有利と思われ、銀時に手を伸ばしたが、悪魔よりも強い、魔王が降臨したケロベロスを従えて…


「何、してるネ!」 「ワン!」
「…ヒィッッ!!」



ソファーに座る魔王ハァハァ、舌を出し涎を垂れるケロベロスを、見上げるように床に座らされる土方。


「油断も隙も無いネ!このバカネーズ!こんな夜中に来て、銀ちゃんに何するつもりだったネ!」
「ワン!」
「… スンマセン…」


仮にも真選組 泣く子も黙る鬼の副長だが、此処に来れば只のヘタレだ。


項垂れる土方の目の前に、神楽が手を出した。ヒョイヒョイと動かす。何かと思い土方は首をかしげる。そして思わず自分の手をそこに乗せた。


「何してるアル!」
「へっ!?…グハァッッ!!」


魔王とケロベロスに一撃を喰らった。


「なっなな!何すんだよォォォ!!!」


「あァん!貢ぎ物は無いアルか?」
「ワン!」

「あるわけねっだろっがァ!こんな夜中に何があんだよォ!」

「ケッ!使えない男アルな。」


あっ、ちっちゃい銀時が居る…


「でっ、どーやって入って来たネ!」


「鍵が開いてたンだよ。」
「開いてたから勝手に、入ってきた何て理由が通ると思うアルか!警察呼ぶネ!この不法侵入者ァ!」


イヤイヤ!警察俺だからァ!此処に居るからァァァ!!


「大体なァ!お前達も悪い!鍵開けっぱ何てよォ!不用心すぎんだろっ!」
「だからって、勝手に入って来るのはいいアルか!」


反論できねェェェ!!チキショーォォォ!!!


「銀ちゃんもこの変態のドコがイインだか!」
「ワン!」


ケルベロスを撫でる手をガシガシと、カジラレルが全く動じない!流石!魔王と小さく拍手すれば、ケロベロスにまた一撃を喰う。だーかーらァ!何で俺だけェ?


夜中の歌舞伎町に遠くから、サイレンの音が響く。ヤベッ、そろそろ戻らねーと。キレた総悟が何するか分からねぇ! ちょっとだけだが銀時補給は出来たしなぁ… ニヤケル土方。


「気持ちワルイネ!何ニヤニヤしてるカ!」
「イヤ!別にィィ!また、来る。」


立ち上がる土方の前に、神楽がまた手を差し出した。今度はグーで。意図が掴めない土方。


グーゥゥ!!!ッて何だオイ!ジャンケン!ジャンケンなのかァァァ!!じゃぁ、パーか勝てるのは?!

土方は神楽に掌を出す。神楽の何かを握っていた手が開き、ポトリッとそれが土方の中に落ちた。


それは赤いリボンの着いた代物。


「おまッ!!これ!」

「あげるネ!」
「イヤイヤ!お前どーすんだよォ!」


神楽はニカッと笑い
「大丈夫。無くしたって言えば、銀ちゃん『しゃーねぇなぁ!今度は無くすんじゃねーぞォ!』ってまた、新しいのくれるネ!」


「くれるったって…」


「犯罪を繰り返す彼氏なんて、銀ちゃんが可哀想アル!」
「犯罪って… 」
「今度からはそれ使って、堂々と入ってくるヨロシ!」


無邪気に笑う神楽の頭を撫で、アリガトなと礼を残し仕事に戻る。


「ハァ〜ァ!定治もう寝るヨ。銀ちゃんが起きる前に」
「ワン!」












もう起きてますが!バッチリ目が覚めてますよォォォ!!!何処からッて… そりゃ、あの真っ黒なヤツが玄関を、開けたときからねェ!アイツラ!何仲良しさんしてんのォォ!!!

本当はね…、アイツが夜勤でこの辺を、見廻りスルって知ってたから、鍵を掛けなかった。いつもはちゃんと掛けてますよォ!ったく!あーぁ、また新しいの作らねーとなぁ…









「土方さん何ニヤケてんでさぁ」


見廻りに戻った土方を早速弄る沖田。


「別に。ソレよりちゃんと仕事してたんだろっなぁ!」
「アンタに言われたかぁねぇですッッ!!土方さんそれ!」


土方が持つのは赤いリボンの着いた代物。いいだろう!と沖田に見せた。

カッチャ
「ひーじーかたーァァ!!!!死ねェェェ!!」
「へっ!はぁっ!ちょっ、ウォォォォ!!!」

沖田のバズーカーが見事に土方に命中。手に持つものも、土方自身も真っ黒焦げ。


実はあの赤いリボンは沖田が神楽にあげた物。






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