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□七夕。
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風に笹の葉と短冊が揺れる。今日は七夕。年に一度だけ想い人に逢える、特別な日だ。
夕陽が町を照す。空を見上げ、今宵は綺麗な天ノ川が観れるだろうなぁ、
「よー、副長さん。」
ポンと肩を叩かれた。振り向かなくても誰だか分かる。
「ちゃんと買ってくれたぁ?」
俺が手に持つビニール袋を視て、えらいえらいと頭を撫でる。ふざけんな!
「今日は七夕だろ。パーチィするには、もってこいだもんね」
にまっと笑い再度ビニール袋を確認。
「ちゃんと買って来たわぁ!特上ロース1キロ!信用しろ。」
「なーに拗ねてンだよ。どこにもお呼ばれしない、寂しーい副長さんを万事屋の七夕パーチィに、招待してやってンだ。有り難く思え。」
ぺちんと頭を叩かれた。何がパーチィだぁ?ただ肉食いたかっただけだろっがぁ!ったく、今更、何を言ったって堪えやしねーンだから、文句を言うだけ疲れる。
懐から煙草を取り出し、深く吸い込み煙を吐き出して、また空を見上げる。
「今日はみえそうだなぁ、天ノ川。」
「あぁ、そうだなぁ。」
ゆっくり万事屋への道を歩き出す。茜色の夕陽に照され、二人の影が伸びていく。同じ背丈、同じ男で 、でも俺はこいつが、この男が好きで、好きで、愛しくて…
「どーした?」
「ん、いや」
彦星と織姫の様に年に一度しか、逢えないとしたら…、お前はどーする?
「… なぁ、」
「俺は嫌だね」
「?」
銀時は真っ直ぐ前を見ながら、喋る。
「年に一度… 何て、ごめんだ。」
え?!マッハで瞬きをする。
「そうだろ、土方、お前も。」
うんうん!そっだね!そっだねぇぇ!銀時ぃぃぃぃ!
がばっと抱き着こうとしたら
「なぁ、肉方。」
はぁ?肉、肉、方って?!
俺が持つビニール袋を引ったくり、
「早く帰ろうぜ。肉、方。」
うおおおおおおおおおお!そっちィ!ねぇ?やっぱりそっちなのぉ!
「待ちやがれぇ!このクソ天パぁ!」
走る背中を必死に追い掛ける。
万事屋に着き、
「肉、早く寄越せヨ。肉方。」
「に、土方さんいらしゃい。」
案の定の扱いだった。結局、肉かよぉ!
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