B
□これからも。
1ページ/1ページ
走る車の中エンジンは静かなのに、やけにテンションが高い山崎の、喋りが続く。
左から右に流す。たまにコクりと、頷きを返すだけ。
後、小一時間もすれば新しい年になる。神社の警備の交代が早まり、これから屯所に帰る所だ。
「ねぇ、副長?」
「… あ、」
「もう聞いてました!俺の話しぃ。」
煩い。
「ここを曲がれば…」
「止めろ!」
「へ!?」
「止めろっつってんだよぉ。」
は、はい!山崎が急ブレーキをかけた。 土方は足早に車から降りる。
後ろから聞こえる、山崎の声などもう届きはしない。
煙草を取り出し火を点け、肺に煙を吸い込んだ。ふと、見上げた先にはふざけた看板がある。
万事屋銀ちゃん
口端を上げ苦笑い。階段を上り灯りは消え、主の居ない玄関前に腰を下ろした。
吐く息は白く寒さが身に凍みて、独り膝を抱える。
あいつは今頃、何か頬張ってるんだろうか?口の回りに色んなモン付けて、みんなと楽しく笑ってるんだろうか?
もうすぐ新年が来るってゆうのに… 俺は、なにやってんだかなぁ…
小さな言い合いからいつものように、デカイ殴り合いになって… 素直に謝れない自分に腹が立って、でも、逢いたくて…
「はぁ〜、なにやってんだか…」
「ほんと、お前、何やってんの?」
え!?
顔を上げれば今一番逢いたい奴がいた。
「ぷっ、なんっー顔してんだよ。」
「は、へ?!」
目の前の奴は照れ臭そうに、ポリポリと頸を掻き
「あー、んーと、!!おわっ!ちょ!」
「銀!」
思いっきり抱き締めたら
「く、苦しいだろ!いきなりやめろこのばか」
文句は言うものの、引き離そうとはしない。さっきまでの寒さなどどこえやら、甘い匂いとコイツの温もりに安堵する。
だが…
「何で俺が居るって、」
「それは、ほら」
下をクイッと指差す。
ああ、成る程。
下には先程まで乗っていたパトカーが、定員オーバーで止まっていた。運転席の山崎が埋もれてる。
「土方さん、今年は殺りそこなったんで、来年こそは死んでくだせぇ。」
「てめぇが死ね!」
「トシぃ!「黙れゴリラぁぁぁぁ!あらぁ、土方さん銀さん、来年こそはこのゴリラ殺してね!」
「…無理だから…」
「銀ちゃん、あんまりアンアン言うんじゃないヨ」
「言わね―よぉ!」
「土方さん銀さん、来年もよろしくお願いします」
「よろしく」
「旦…」
ジミーがまた埋もれた。最後まで残念な奴だ。
ギャーギャー言う連中に、来年もよろしくと二人で言う。
車は蛇行運転で走り去る。
玄関の鍵を開けながら銀時が
「お前が警備する境内にさ行く途中で、ジミーが教えてくれたんだよ。ここで下ろしたって」
開かないと思っていた戸が
「だから、引き返して… 」
「悪かった… この間は」
背中越しにぎゅっと抱き締める。
「俺だって、悪かった…し、」
殴り合い、喧嘩上等それが俺達のコミュニケーションだけど、たまには照れ臭いけど
「「ずっとよろしくな」」
二人同時に… なんて
ぶっ、二人顔を見合わせて笑った。
殴り合い、喧嘩上等それが俺達のコミュニケーションだが、
「銀時、死ぬまでよろしくな」
「殺しても死なねーよ、てめぇは」
頸に手を回され口付けられた。
†