MAIN(長編)

□E
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躯を繋げても、虚しさが残る。


グッタリと横たわる銀時の、柔らかな銀髪を撫で愛しい唇へと、指を這わす。


息遣いは荒く、体中には赤い花弁が散り、白く綺麗な肌に映える。


「………高杉ィ……俺…が…憎い…よね…嫌い…だ…」


銀時は最後まで言葉を、紡げずに深い眠りに落ちた。


「馬鹿だなぁ、テメェは… 気が狂う程に、愛してんだよ。銀時…」


涙の跡にキスを落とし、頬を撫でながら高杉は聞こえてはいないであろう、銀時にそっと語りかけた。


柔らかな唇からは


「………ト………シ」

自分ではない名前が漏れる


解ってた………


銀時の弱い所を突き立て、攻めれば簡単にこの腕に、堕ちる事は………


解ってたのによ…


銀時ィ………



辛れぇなぁ…



あの日…離れていく手を繋ぎ止め、テメェを抱いてたら…


お前は… アイツの者にならなかったのか…


俺だけを…見てくれたのか… ククッ


今更だよなぁ…


銀時ィ…


あの頃も今も、俺はお前を傷付ける…


だけどよぉ… 銀時ィ…

どうしようもねぇんだよ…


止まんねーだよ…


俺の中にある、お前への感情はどんどん膨らんじまって…


収まりきれねぇ程になっちまった…


お前の大事な者を全て、敵に回しでも俺は… 銀時ィ… テメェが欲しいんだよ…

どんなに深い傷を覆うが、泣き叫ぼうがよ…かまやしねー

お前をこの腕の中に抱き、温もりを感じられるだけで幸せなんだよ。


俺の進む路を、その眩しい光で照らしてくれ、暗闇をお前の綺麗な白い光でよ。


なぁ… 銀時ィ…


心なんていらねー

そんなもの後から幾らでも、付いてくるもんだろ…


もっと這い上がれない程に…テメェを陥れ俺しか見えないようにしてやる…


これが俺の愛し方だ

誰にも文句は言わせねぇ


銀時ィ… 愛してる…あの頃と変わらず…テメェをよ…


強くて儚い…白夜叉

高杉は銀時の躯を満足げになぞり、もう一度優しく口付けた









土方は胡座を欠き剣の手入れをしていた

その姿を辰馬はジーと眺め


「おんし…本当に男前じゃのぉ!」


突然の辰馬の言葉に土方は、加えていた煙草をポロリと落とした。


「はぁあん!テ…テメェいきなり何だよ!」

「あはあははは!いやぁほんに、男前じゃぁ思うての」


土方は眉間に皺を寄せ辰馬を見た


「こんだけ男前やったら、言い寄ってくるおなごはいっぱいおるじゃろ?何故?金時なんじゃ」


自慢じゃないが、女に不自由なんぞしたけとはない、銀時にもよく言われる[テメェ無駄に男前なんだよ!ムカつく]などと

何故?銀時何だと…聞かれても… 答えなんて決まってる…アイツの全てが俺を生かし、前に進めと俺の足元を照らし、背中を押してくれる

アイツの光はいつも暖かく、闇でのた打ち回る俺を救い出すんだ…


「たまに手紙を書くんじゃが」


「手紙?」


腕組みをして辰馬はうんうんと頷き


「お互いの近状やら、たわいもない事を書くだけなんじゃが、ある日を境に金時はおんしの事をよー書いてきたんじゃ」

「俺…の事?まさか…悪口じゃねーだろなぁ?」


「まぁ…ちぃとは書いちょったあはあははは!んーそいにマヨラーだとか、ニコチン馬鹿とか、そいに「だぁあぁああ!!#もういい#」


クソッ!!!アイツお仕置き決定だな!


「金時は…二度と大事な者ば作らんゆうて、あの忌々しい戦場を後にしたきに…でも昔から何か知らんが、金時の周りには人が集まるんじゃ」

土方は黙って辰馬の話しに耳を傾ける




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