MAIN(長編)

□D
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銀時は、黙ったまま高杉の後ろを付いていく

高杉の背中を見つめる

昔は、四人 肩を並べて歩いてた

喋る言葉は、みんなバラバラで

でも… 皆 …


想いは… 同じだった


は…ず


今は、横に並ぶことも

肩を組むことも

出来ず

ただ… 高杉の後ろを付いて行くだけ

逃げ出そうと…思えば

きっと、出来…る

だけど…それは… 出来ない

この俺で、大切な者を

護れるなら…

昔みたいな あの…
失望感…を味わいたくは…ない…

残して行った者達が

幸せならば…

例え…それが…

俺の…エゴだ…として…も

高杉… あの時…

お前の…一途な気持ちを

受け入れて…いれば
こんな遠回りは…

しなくて …


済んだのかぁ…

今となっては…

どんな言葉を…

紡いでも… 全てが

嘘にしか…聞こえないね

だけど… 俺の中のお前は…

苦しい時を、一緒に
過ごした…大切な 仲間…

それ以外に…は…

「銀時ィ…フッ あんまりねぇ頭でよ 考え込むなよ!らしくねぇ」

深緑の瞳に 見つめられ

眼を逸らす

「今も昔も、お前には護れる者なんて、ねぇのさ」

「そんなことはない!俺は…」


《バシッ》

「テメェ!俺に口答えすんじゃねぇ!自分の立場…わかってんのかぁ?」

紅い瞳はまた俯き

黙った

万斉は、思う

(白夜叉の言葉一つにも、普段は冷静な晋助の心は…乱される…)



船に着くと直ぐに
駆け寄って来る人物は

満面な笑顔

「晋助様お帰りなさいッス」

「ぁあ!」

後ろに居る 銀時を見て 瞳がくもる

高杉は、一言だけ言うと 歩き出す

銀時もまた、後に続く

二人が見えなくなり

「等々…晋助様は白夜叉を、連れて来ちゃたッスね」

万斉は黙ったまま







奥の部屋の前で 高杉が足を止めた

襖を開け、高杉は入る

銀時は足を止めたまま

そんな銀時を見て 高杉は 腕を強く引っ張り 畳に叩きつけた

「………ッゥ」

高杉は倒れ込む、銀時に馬乗りになり

無理矢理に顔を自分に、向けさせ 着物を はだけさせた

顔を背ける銀時

まだ、消えぬ他人の
所有痕

高杉は思いっ切り 銀時の顔に、拳を振るう

《ゴッキ》


銀時の口からは、赤色の筋が垂れる

「クソッがぁ!銀時ィテメェはよ!こんなに吸い付かれて、よがんのかぁ ククッ」
銀時は、黙ったまま
高杉に、視線を向けない

その仕草さえ高杉を苛立たせる

「何 黙り決め込んでんだぁ〜!テメェは」
銀時は唇を噛み締めるだけ

口の中は、懐かしい鉄の味がする

高杉はそっと、白い首筋に手を這わす

銀時の躯が、緊張するのが解る

首筋に優しく

這わすだけの手が

銀時の首を力任せに絞める

紅い瞳は一瞬揺らいだが…

何も抵抗はせず

高杉のする行為に

身を任せた

また…お前は…

そんな…


そんな… 哀れむ様な…瞳で俺をみる…
何故? どうして…ぇ
高杉の手の力は

更に篭もる

銀時の顔は僅かに

歪むだけ 少し開いた口から…

「たか…すぎ…」

不意に名前を呼ばれ
その口に、食いつくように口付けをした
散々、貪り唇を離し
絞めていた手も離してやった

呼吸を許されなかった

口から空気を吸い込む

やっと呼吸を許された躯は

それに、付いていけず

「ゲッホ…ガッハ…ウッエ…」

嗚咽する

高杉は、銀時の躯から離れ

「汚ねぇ…ククッ その狗の後が、消えたらテメェによ 俺の痕を嫌って程、付けてやるよ なぁ銀時ィ」

「はぁっ…ゲッホ…グッ…」

紅い瞳は、深緑の瞳を力無く、睨み付けた

そんな顔も…綺麗だ
銀時…もっと…苦しめ…俺が与える熱で
高杉は、口元だけを緩め 部屋を出て行く


銀時は自分に付けられた 痕に手を当て
「土方ぁ……ッゥ…土方…」

自分から…去ることを決めた… なのに…

名前を口にする

お前の付けた…痕が
このまま消えなければ… いいのに…

ごめんなさい…

俺が………お前を愛したから…

銀時は自分の躯を

両手で抱え込むように…抱きしめた

唇を噛みしめ 愛おしい人の名を

何度も何度も…小さな声で呼ぶ

何とも言えぬ孤独感に、さえなまれながらも

愛おしい人の名を 呼べば

心が満たされる <銀時…愛してる…お前だけだ…>

「…クッ…ッゥ…ひじ…トシ…ごめんなさ…い…」

声を殺して銀時は 泣いた




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