MAIN(長編)

□C
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「高杉ーーーーィ!」

ズサッ

倒れる 天人

「よそ見してんじゃねぇぞコノヤロー!」

「ケッ 銀時テメェーなんぞによ!助けてもらわねぇでも 俺一人で、十分なんだよ」

「相変わらず口だけは、達者だなぁテメェは!」


二人は、笑い

目の前の、天人に斬りかかる


最後の一人を、斬り終え

二人は、背中合わせで座り込む


辺りは 生臭い鉄の臭いが、鼻に付く

何度 嗅いでもいいきはしない

高杉は、少し呼吸の乱れる 銀時をみた
白い肌には 返り血が色鮮やかに 散って

汗ばむ躯からは、銀時、特有の匂いがする

そっと 頬についた血を、なぞる

紅い瞳が 高杉を捕らえる

綺麗だ銀時

高杉は思う

同じ男なのに 俺はコイツが

好きだ… 同士ではなく …特別な感情
でも、この想いは伝えては…いけない感情なのか…?

「高杉! 俺の肌はバリケードなの! 触んな」


「お前は馬鹿か!デリケートの間違えだろ」

「はぁ!いいんだよ!ニュアンスが似てたらよ!」

口を尖らせて 銀色は可愛く言う


その唇に、口付けたいと、想い無意識に近付く


「金時ーィ!高杉ーィ!」

辰馬が、現れた

高杉は、チッ 小さく舌打ちをした

「おまんらぁ また派手にやったの〜!あはあはははは…ゲッフ…」

「金時じゃぁねぇー!銀時だって言ってんだろうがぁぁああー!コンのぉ馬鹿ァ辰馬ぁぁああ!」

銀時に、跳び蹴りをされる

「金時ィ 痛いがよあはあはははは」

「まだ、言うかコノヤローォ!」


冷ややかな眼で、二人を見つめる高杉

スッと立ち上がり

向きを変えた

「オ!晋助、何処いくがか?」

間の抜けた声で、聞かれ

「お前ら、馬鹿に付き合ってられるか」

背を向けた

「ぁ〜あ! 晋助は何を、怒っちゅうがか?」

「知らねぇ」

紅い瞳は、何処か寂しく 立ち去る

高杉を見つめた

銀時 おんしは 気付いておるんか…

晋助の気持ちを…

「馬鹿ァ辰馬! 腹減った!」

坂本の胸倉を、掴んでいた手を離し

銀時は、言った






「今、動ける者はどれぐらいだ?」

「桂さん 半数もいないかと……」

桂に、苦悩の色が浮かぶ


「よぉ ヅラぁ! どうした!」

「ヅラじゃない!桂だ」


「どっちでも、一緒だろ」

桂は、高杉を睨み付け

「この戦、そう長くは持たぬかもな」

「何!弱気な事を、ぬかしてやがるヅラ」

「兵士は、もはや半数以上減り、動ける者も数少ない このまま「大丈夫だ! 俺達には、白夜叉がいる」


高杉の眼は、見開く

「高杉…いくら銀時とて、限界はある」

ククッ 喉の奥を鳴らし


「限界? そんときゃよ! 死ぬ時だ!まぁ俺は、白夜叉が傍に居れば…それだけで前へ進むぜ」



高杉… もう既に…白夜叉…銀時は…

限界を、超えている
幾多の天人を斬り

その代わりに…幾多の同士を…失い

銀時は…その悲しみ…怒りを…背負いすぎた…


高杉…お前もわかっているはず…

なのに何故?

苦しめる… 銀時を
やっと、アイツは今
心の底から、信頼できる者に逢え

安らぎを得た

お主には… 決して与えられぬ…物…


高杉… お主が…銀時に与えられる物は

信頼でも… 安らぎでもない…

それは……………闇
けして…抜け出せぬ

闇だけだ…

銀時の眩しいくらいの光を、誰も…奪う事など

出来ぬ

銀時は、護る者を得てこそ、輝き…光を放つ


高杉…貴様には…その資格…は無い


何故それを、解ってやれぬ…

高杉…


皆が、違う道を選び

銀時が去る時、お主は…黙って見送った

それは…銀時を想っての事…


銀時にとって 俺達は 同士

それ以上の何者でもない


銀時の光を…消しては ならぬ

高杉…





《ヅラぁ!俺はもう我慢はしねぇ…お前も同罪だろォ…》



違う!違う…違う!

高杉止めろーーーぉ!


「たか…んっ…」

「ヅラぁ! やっと眼が覚めたがか?」


桂は、キョトンとした顔で 声の主を見る


「た…辰馬! お主此処で何をしている!?」

「はぁ? 」


「高杉は?ヤツは何処だ! 白夜叉いや…銀時は?また、二人で天人を斬りに行ったのかぁ?」


桂は、夢の続きをまだ起きても、見ているらしい


「ヅラぁ! しっかりせぇ おんし大丈夫かぁ」

桂は、辺りを見回し
起き上がろうとして

躯に激痛が走る




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