短編

□バレンタイン
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「銀さん今?何か人の声しなかったかい?」


「きのせいだろぉ! 土方ァ!スペシャルチョコだぁ!女の子の気持ちは、大切にしなきゃなぁ!女を敵に回すと怖ぇえからよ!まぁ、食べきれねぇーんならよ!
いつでも銀さんに言ってくれ!んじゃぁ〜ね!」


バイクを、走らせ銀時は去っていった


「銀さん、ちょっと待ってくれよ」


長谷川も、その後に続く


チョコに埋もれていた土方は


「ぷっはぁ!クソォオ!あのヤロォオ!」


「土方さん!こりゃぁまた…おモテになるこって!」


沖田は、自分の手にあるチョコレートを
チラつかせ ニヤリ
「もしかして、土方さん旦那からの、チョコレートないんですかぃ?」


「ばばばばばかやろぉお!あるに決まってんだろぉ!」


「へぇ〜!俺ぁ、チャイナと旦那の二人に手作りチョコ、貰いやしたんですがねぇ」


「銀時の、てって!手作りチョコだとぉぉおお!」


土方の前に、可愛らしくラッピングされた


チョコを見せる


「ほれ!はっ!よっ!」

沖田が手を動かす方向に、土方が動く


まるで、猫が玩具で遊ばれてるような光景


「はっ!ほっ!おっと!土方ぁ!何しやがるコノヤロォー!」

チョコレートを、掴もうとしたらしい


ハッと我に返る

「べべべべべべつにーィ!」


「土方さん、そのチョコ早く片付けて、くだせぇ 俺ぁ見廻りにいきまさぁ」


ご機嫌な 沖田


「まだ、時間はたっぷりありまさぁ!旦那からチョコ貰えるように、頑張ってくだせぇ土方死ね!」


「総悟ぉぉおお!テメェ覚えてやがれ!」


可愛らしくラッピングされたチョコに


沖田は口付けながら

嫌らしく笑う


「なっ!止めろぉぉおお!早く行けぇえ!」

「ヘィ!ヘィ」


(クソッがぁぁあ!……………銀時の…チョコ欲しい…)







一日中、銀時は他人様のチョコレートを配り ヘトヘト


依頼料を貰い

万事屋に帰る途中

真面目に見廻りしている

沖田を発見、「総一郎く〜ん」

「旦那ぁ!仕事終わりですかぃ?」

「他人様のチョコ配りから、やっと解放されたよ!銀さん!あれぇ?」


沖田の隣には、ハゲがいた

「多串君は?」

「何か書類溜まってるみてぇで、部屋にいまさぁ!」

「へぇ〜!そうなんだぁ! じゃぁ銀さんも帰ろっかなぁ〜!」


「帰ぇるんですかぃ?何なら、甘味でもご馳走しやすぜぃ」


「いやぁ!早く帰んねーとよ!子供等に怒られっから!」


手のひらを ヒラヒラさせて 銀時は帰って行く







副長室からは、只ならぬ陽気が漂っていた


誰も近付けずにいる

その結界を破ったのは 愛しい人物 坂田 銀時であった


「オーイ!ひじーかーたくーん」

ヘラヘラ笑い、部屋に入って来た


土方は、思わず顔が綻ぶが、机に向かい顔を引き締める


「何しに来やがったテメェ!」

「銀さん!仕事で疲れたんだわ!肩揉め」

「はぁあん!ふざけるんじぁねぇ!俺はまだ、仕事中だぁあ!」

土方の肩にちょこんと、顔を乗せ


「まだ、終わんねーのかよ!」


甘い香り…昼間の事を全て、許してしまいたいくらいの…

(駄目だ!堪えろぉぉおお!俺ぇえ!)


頬に チュッとキスをされた

「ほれ!銀さん特製手作りスペシャルチョコ!」

固まる土方


「オーイ!土方ぁ?オーイ!」

白い手の平を、土方の顔の前で振る


「いらねぇんなら、別にいいけどよ」


ガバッと、銀時の手を掴み

「いるに決まってんだろぉがぁ」


耳まで真っ赤な土方が言う

嬉しそうに開ける土方


「頑張って銀さん!作ったんだからなぁ!お返しは三倍返しなぁ!そ「ほ〜ぅ!本当に…頑張って作ったんだなぁあ…銀時ィ」


また、只ならぬ陽気が、部屋中に漂う


見れば土方は、チョコレートを手に、怒り狂ってる


「銀時ィ!どうゆうことだぁあ!こりゃぁ!」

「はひっ!」

チョコレートに書いてある文字は


《死ね》

(ぇっえええええーーー!何でぇっえええええ!ちゃんと入れた筈!ちゃ…んと…まさか!)

銀時の顔が、青ざめる

「どうゆうことだと聞いてんだろぉがぁあ!銀時ィ」

銀時は後退り

「土方!話せばわかるなぁ!取り敢えず落ち着けって」


「じゃぁ…きっちり聞こうじゃぁねぇかなぁ銀時!」


(やべー! めっさ瞳孔開いてる!)


「これは…ちょっとした手違いが、あってだなぁ!」

「どんな…手違いだぁ」

銀時にじりじり、鬼が近付く


「だ…だからよぉ…そのなんだぁ…俺のチョコと…神楽のチョコを間違えて持って来たんだよ!」


「ほ〜ぅ!それじゃテメェのチョコは何処だぁ!」


「いや…それ…は…」



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