昭良

□にらめっこ
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『先輩、その雑誌好きですね』

私の言葉に新堂先輩は返事もしないで机に置いた雑誌のページを捲る

『ボクシングの雑誌ですよね』

一緒に雑誌を覗き込むが先輩は何の反応もなし
頬杖ついて雑誌を見る姿は、煩い黙れと言わんばかりのオーラを出していた

『…そのページ昨日も読んでましたよ?』
「な…、うっうるせぇな良いんだよ!」

やっと口をきいてくれた先輩の顔は少し赤くなっていて、右手は急いでページを捲っていた

「もうお前は早く帰れ」
『先輩が帰るまでは帰りません』

私が言えば先輩はため息をついて窓の外を見た
空は紅くなり始めており、外からは運動部の声が聞こえてくる

「…腹減ったな」
『え?』
「腹が減った」
『はい』
「ーっだから明日は何か食うもん持ってこい…!」

少し早口で、焦ったような声だった
外を見たままの新堂先輩は、耳まで真っ赤にさせていた

にらめっこ

今日も明日も明後日も先輩は雑誌とにらめっこ





―――
20090811_毎日教室に遊びにくる後輩と素直になれないシャイ新堂

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