dream
□はじめまして、バンエルティア号!
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痛いなぁ…
そんなことを呟いたつもりだった。
けれど意に反して言葉は出てこない。
少しでも口を開けば言葉とは違う何かが飛び出してきそうな気がした。
鉄の臭いと鉄の味に気が狂いそうだ。
ぼんやりとしていた視界が次第に暗転していく。
魔物の攻撃は止む気配もない。
ああ、もう駄目だと理解した。
それと同時にあの黒と金の幼なじみに会いたくなった。
バイバイ。
様々な想い、感謝だとか怒りだとか沢山の想いを全てこの一言に乗せて放つ。
やっぱり鉄が邪魔をして上手く言葉に出来なかったけど、二人に伝わっているといいな、なんて。
重たくなっていく瞼に抵抗せずに瞳を閉じた。
「…い…おい…」
誰かが呼んでる。
私のことではないかもしれないけれど、私の事かもしれない。
起きなきゃ…。
重たい瞼を持ち上げ1番に視界に入ったのは金。
待ち望んだ色だった。
目の前にある金にしがみつく。
「あ…い…たかった。」
そう口にすれば腕の中の人は慌てたような声を出した。
「ひ…人違いじゃないのかい?
それと……少し離れてくれないか…」
それがあまりにも必死な声で私よりも死にそうな弱った声だったのと、私がよく知っている金髪と声が違っていたからその人の肩に埋めていた顔を上げる。
顔を上げた私の目が捕えたのは金髪とは別のもう一人の幼なじみ、ユーリと……
私がしがみついているはずのフレンが立っていた。
ユーリは面白いものを見つけた時のニヤニヤ顔でフレンは困ったような顔。
はて、フレンはいつ影分身ができるようになったのであろうか…。
意識が浮上したばかりの頭で考える。
すると一つの考えに思い至った。
ゆっくりとしがみついていた自身の腕を離し、先程までしがみついていた相手を見る。
恐る恐るゆっくりと。
やっぱりだ。
別人。
よく考えれば最初から声が違っていた。
「す……すみません」
慌てて謝罪の言葉を口にしたが、彼は凄い勢いで私が腰掛けている寝台から離れて行ってしまった。
そんなやり取り(成立しているかどうかは定かではない)の中でユーリが吹き出した。
私と金髪の彼のやり取りは面白かったらしく、フレンも肩を揺らしていた。
「とりあえず…
状況説明をお願いします。」
フレンのそっくりさんが私に説明している間ユーリは爆笑し続けていた。。
はじめまして、バンエルティア号!
(あーおもしれぇ…)
(涙が出るまで笑わなくても…)
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マイソロ3発売前から書いてた話を今更up。
シリーズとかにしたい気もするけど、続かないからなぁ…私。
とりあえず、フレンとガイを間違えちゃう話が書きたかっただけなんだけどね(笑)