悪夢

□残りじかんまであと僅か
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「銀さーん」
「銀ちゃーん」
 もうすっかり聞き慣れた声に振り返る。スーパーのビニール袋を持った新八と神楽が、橋の中央にいる俺のところへ駆け寄ってきた。
 そういえば夕飯の材料を買いに行かせたっけ、と思い出す。
「何1人で黄昏れてんですか?」
「…ぱっつぁんよォ。やっぱ、楽して一山当てようなんて思っちゃいけねーんだよ」
「また負けたんですか」
「だからパチンコは止めろって言ったアル」
「あー!何であそこで止めなかったかな俺のバカ!!」
「道のド真ん中でうっさいアルマダオ」
「もう負けたものは仕方ないじゃないですか。早く帰りますよ」
「んだよ、冷てーな」
 両手をかけていた手摺りから体を離す。
 こいつらには何気ない動作に見えたはずだ。
「早くしないとテレビ始まっちゃうネ!」
 いつも通り。
「安かったんで今日は焼き鮭ですよ」
 いつも通り。
「今度またババアんとこにせびりに行くか」
 いつも通り。

 俺がまともな思考ができる人間になるのは、あと少しかかるみたいだ。






End...
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