悪夢
□兵どもが夢の址
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何でそんな――いきなり。
「………カッ」
天人の小さな呻き声に俺も銀時も下を見る。もうただの肉塊になっているかと思いきや、まだ微かに息があったようだ。
死ぬ寸前の天人に、口の中の物をゴクンと飲み下した銀時が頭の方に近寄って座り込む。行動が読めなかった俺は黙って見ていると、銀時が。
「まだ生きてたのか」
ぐちょっ、と。
人差し指を突っ込んで眼球をえぐった。
わずかに抵抗した、眼球から伸びている視神経もブチブチと引っこ抜き――そのまま、口に放り込む。
「やっぱ目ん玉のほうが柔らけーな」
絶命した天人が、かっ開いた瞳孔で銀時の方を凝視していた。しかし銀時は目もくれず、飴玉を舐めるように口内で転がしているだけだった。
眼球を。ねっとりと、味わうように。
「――っ!!」
さすがに限界だった。
口を掌で押さえる。
逃げたいのに足が動かない。見たくないのに瞼が閉じられない。
「お前……」
言いたくないのに、口が勝手に開く。
「旨いか?それ……」
俺の方を向いた銀時が、赤く染まった口元をニヤァっと歪め。
さらにニヤアァーっと歪め、眼球をぶちゃりと噛み砕いた。
「旨いよ」
そう言った白夜叉は。
どこまでも狂っていた。
End...