悪夢

□外側と内側と奥側
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 それは単なる暇潰し。軽いノリだった。
「心理テストでもしませんか?」
 こんな事言わなければよかったと。
 後悔した時は、もう遅い。

 人の皮を被ったナニカ。



 それは穏やかな日だった。
 いつも通り依頼がなかった午後。昼食を食べたあとすぐ遊びに行った神楽と定春と入れ代わるように桂が訪ねてきて、攘夷がどうのこうのと熱く説いているのを「うるせぇ!」と銀時が跳び蹴りとともに一蹴した。
 それからやっと大人しくなった桂は今、新八の出したお茶を静かに啜っている。ついでにあと2人分お茶を煎れてきた新八は、片方を社長椅子に座っている銀時に出し、もうひとつは手に持ったまま桂の向かい側のソファーに座った。
「新八〜」
「何ですか銀さん」
 だらし無く喋りだらし無くお茶を飲みだらし無く座る銀時に「だらし無いぞ」とすかさず桂が注意するが、改善する気が全くない銀時はだらし無く言った。
「いや、どんだけだらし無いんだよ俺。だらし無いって単語出過ぎだろ」
「それだけだらし無いってことですよ。ちなみにこれで8回目です」
 かぎかっこ以外の文章には突っ込まないで下さい。えーいいじゃん。
 という応酬を交わし「で、何ですか?」と律儀にも聞き返した。
「暇すぎ。なんか楽しいことねーのか?」
「一緒に国を変えるのはどうだ?」
 応えたのは、新八ではなくなぜか桂だ。
「ここぞとばかりに言ってくんじゃねーよ。バカ」
「バカじゃない桂だ」
「アホ」
「アホじゃない桂だ」
「…テメーよォ、何かあるたびに『○○じゃない桂だ』って言うじゃん。そのセリフ俺も読者もすでに聞き飽きてんだよ、バカのひとつ覚えみてーに毎回毎回言いやがって。『好きなセリフ人気投票』で9位にランクインしたから調子に乗ってんじゃねーのか?あん?」
「ふん、バカは貴様だ銀時。あの人気投票は読者がハガキを送ってそれを集計しているのだぞ?ランクインしたという事はつまり、読者はウザがっていないという事と総意だ。むしろ人気があるんだぞあのセリフは」
「あ?何言ってんだテメー。あれはあれだよ?お前の『ヅラじゃない桂だ』っていうセリフはCV石田だから人気があんだよ」
「いくら人気声優だろうが演じる役がなければどうしようもない。従って、石田彰の人気=俺の人気だ」
「その図式はおかしいだろ。だったら俺なんか…」
「ストップううぅぅ!!!会話がギリギリどころかアウトだろォォ!!」

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