悪夢

□残りじかんまであと僅か
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 新八に給料について文句を言われている時。
 神楽とオカズの取り合いをしている時。
 お妙に卵焼きを勧められている時。
 ババアに家賃を待ってくれるように頼んでいる時。
 ふと思うことがある。
 ああこいつらも死ぬんだな、と。
 普段何気なく会話している間もいつの間にか考えてたりするので、もはや己では止めることはできない。多分、一生このままだろう。
 最低だ、と自分で思う。
 例えば新八や神楽と一緒に祭に行った最近。笑顔の2人に手を引かれながら人込みの中を駆けたとき、想像してしまった。祭に集まった人々の頭が、水風船のように一斉に破裂する様を。
 この時ばかりじゃない。どうやら俺は人間が大勢集まと死ぬ姿を自然と連想してしまうらしく、ドラマを見れば出演者が次々と喀血していく場面が見えて、祭典があると聞けば会場ごと全員爆死する様子を思い浮かべてしまう。
 幼少を戦場で過ごしたからか、青春を戦場で過ごしたからか。それとも全く別の何かなのか、もしくは全部なのか。原因はわからない。
 最低だ、と自分で思う。
 だってこの国はやっと平和になったというのに。戦争が終わって、やっと人々が幸せに暮らせる時代がやってきたというのに。俺は無意識のうちに人間が死ぬことばかり考えている。
 無意識に、この国をブッ壊す方法を求めている。
 …やっぱり駄目だ。俺自身が。もう狂ってないところがないくらい狂い回って、壊れてないところがないくらい壊れ回っている。
 今この橋から飛び降りて頭でも思い切り打てば、ちょっとはマシな人間になるだろうか?

 た め し て み る か ち は あ り そ う だ 。


 
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