銀魂小説

□ひとつの終始焉詞
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 人間は同じ事を繰り返し、この世に永遠などありはしない。
 形あるもの。家族、恋人、友人。
 形ないもの。交情、愛情、友情。
 どちらもいつしか虚しく霧散するだけの運命。自分はそれを経験したことがある。
 だから、荷物はもう背負わないと決めた。

 失くなる時が、怖いから。


★★★★★★★★


 高圧的に開国を迫ってきた天人に危機感を感じた侍は、江戸から追い払おうと一斉蜂起して戦った。だが天人の強大な力を見て弱腰になった幕府は、侍達を置き去りに天人と不平等な条約を締結。さらに廃刀令を出し侍を無力化させる。
 それが、攘夷戦争。

「こんなもんか」
 場所は江戸城隅櫓。研ぎ終わった刀の具合を確かめる。
 久しぶりにやったんで多少不安だったが体は覚えてたらしい、程よい感じに仕上がっていた。満足に鞘に納める。
「銀時、どうやらここの居場所が天人に感づかれたようだ」
 窓辺に立って双眼鏡で見張りをしていた桂・坂本のうち桂が、双眼鏡を投げてよこす。
 桂の隣に立って双眼鏡を覗くと、まだかなり遠くだが、武装した天人の軍勢が一直線にこちらに向かって行進しているのが見えた。
「おーおー。いるいる」
「指揮官に知らせてくるぜよ」
 坂本が真っ先に走って行ったところで、床に転がった無線機がガガッと鳴った。
 双眼鏡を桂に返し、座って無線機のボタンを数回操作するとすぐ繋がった。
「はい、こちら銀さんですどーぞ」
『こちら新八、神楽です。任務は無事完了しました、今から帰りますどーぞ』
「おう、ご苦労さん。怪我はねーか?どーぞ」
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