テニプリ1

□だるまさんがころんだ
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ある日桃城は本屋である雑誌を見つけた。

『都市伝説特集』

「おっ!おもしろそうだな〜!」

桃城はすぐさま雑誌を手に取り、ページをめくった。

「ん?だるまさんがころんだ?」

ページをめくっているとヘンテコな見出しが目に入った。

桃城は声に出して読んでみた。

「お風呂に入って頭を洗っているとき、心の中で“だるまさんがころんだ”と言い、後ろをふり返ると…。」

文章はそこで終わっていた。

そこがいかにもホラーって感じだ。

「そうだ!これ海堂にやらせてみよっと!」

そんな事を思いながら本を買い、今日泊まることになっている海堂の家に向かった。

「おそかったな。」

恋に奥手の海堂は少し怖い顔をして桃城を出むかえた。

「あぁ、ちょっとおもしろい本を見つけてよ〜!」

ワクワクしながらリビングに行った。

「おもしろい本?何だそれ?」

「ひひ〜…これだよ!」

桃城は袋から本を取りだした。

「う…!」

背筋がゾクッとしたのか、海堂の顔が青ざめていった。

「この本、都市伝説がいっぱい書いてあんだよ!」

怪しい目をさせながら言う桃城。

「…そ、そうなのか…。俺、お茶でも入れてくる……。」

青ざめたまま海堂はキッチンへ行った。







夜…。

桃城の最も楽しみにしている事をする時間。

「俺…先に風呂入るぞ…。」

タオルを持ってふろ場へ行く海堂を桃城が止めた。

「海堂!…頭洗うとき、心の中で“だるまさんがころんだ”って言ってくれよ!」

「…何でだよ?」

不思議そうに聞く海堂に桃城はにんまりと笑った。

「まぁ、やってみればわかるって!」

「…わかった…」

答えになってないと思いながら海堂はOKした。





『頭洗うときに、心の中で“だるまさんがころんだ”って言ってくれよ!』

桃城の言葉を思い出し、頭を洗う手を止めた。

(………………だるまさんが…ころんだ……………)

そう心の中で言った後、後ろをふり返った。

「ギャーーーーーーーー!!!!!!」

後ろをふり返ると、海堂は悲鳴を上げた。

「海堂!どうしたんだよ!!大丈夫か?」

風呂の外で桃城の心配する声が聞こえた。

「……いや…何でもねぇ…。」

声を震わせながら言った。

「そうか?…早く上がってこいよ〜!」

少し笑いながら桃城は戻っていった。




バスタオルで髪をふきながら海堂が風呂から上がった。

「お!海堂。…さっきの悲鳴、何だったんだよ?」

またもや聞く桃城。

「な!何でもねぇよ!!」

顔を真っ赤にしながらしらばっくれる。

「なぁー教えろよ〜!」

甘えたような声でねだる。

あの都市伝説が本当にあるのか気になるのもあるが、何より海堂の反応がおもしろい。

「…人影が…見えた。」

だんだん小さくなる声。

「人影?」

興味津々に海堂を見つめる桃城。

「お前に言われた通り、心の中で“だるまさんがころんだ”って言った後、後ろをふり返ったら…。」

海堂の顔がどんどん青くなっていく。

しばらくして急に桃城が笑い出した。

「プッアッハハハハハ!!」

「な、何がおかしい!?」

青い顔が赤に変わった。

「悪ぃ悪ぃ!…たぶんそれ、人影じゃないと思うぜ?」

目に涙を溜めながら笑う桃城。

「は?」

桃城の言っている意味がわからないのか、目が点になる。

「ここの風呂の壁って、少しシミがあるだろ?」

「あ…ああ…。」

「海堂、幽霊とか嫌いだろ?たぶんその怖さでシミが人影に見えたんだよ!」

「は!?!?!?」

桃城にそう言われ、顔を真っ赤に染める。

「海堂、顔赤ぇよ!かわいいな〜かわいいよ〜!」

からかいながら桃城が言う。

「う…うるせぇ!!笑うな/////」





海堂は一日中、桃城にからかわれたのである。










END

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