テニプリ1

□電話
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最近、よく電話がかかってくる。

相手は恋人の大石から。

付き合い始めたころはしつこくなかったのに、今じゃあ一日に4〜5回もかかってくる。


今日もまた、大石から電話がかかってくるのだった。



☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆

電話がしつこくなったのは1週間前。

クラスメートの男子や女子とワイワイやっていると、よく大石を見掛ける。

「おっ!大石じゃん!!どしたの?うちのクラスに用事?」

「いや…何でもないよ。…じゃあ、部活でな…。」

そう言って、大石は自分のクラスの方へ帰っていった。

「ん?…変にゃの…。」



その日から朝、夕方、夜…と大石からの電話が多くなった。

それだけならまだいいけど、学校がある日なんか、10分休憩の間にメールしてきたりと、とにかく怖かった…。

「最近大石からのメールが多いね…どうかしたの?」

不二が俺のケータイをのぞき込みながら言った。

「う〜ん…俺何もしてないんだけどな〜…。」

頬杖をついて大石からのメールを見た。

「大石は心配性だからね…。まぁ、頑張ってね!英二!」

それだけ言うと不二はどこかへ行ってしまった。

大石になんでしつこく電話するのかと聞こうと思っているけど、なかなかタイミングが合わなかった。

☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆




そして今に至る。

♪〜♪♪〜♪

「うっ!かかってきたよ…。」

出ようか迷った。

「ここで出なかったら明日何か言われそう…。」

意を決して電話に出た。

「…も、もしもし…?」

『英二か!?俺だよ!大石。』

聞こえるのは大石のいつもの声。

「う、うん…。」

『今、何してたんだ?』

「別に、何もしてないよ?」

『そっか!…じゃあ、また明日な!』

あ!切られる!!

今聞かなきゃまたタイミングが…!

「あっ!あのさ、大石?」

『ん?何だ?』

「…なんで、そんなにしつこく電話やメールすんの?…この前だって…」

『英二が大切だからだよ…。』

…え?

『俺の中で英二の存在がどんどん大きくなってきて…その…一番大切な英二を…取られたくなくて…。』

大石の声が震えてるのがわかる…。

「…ごめん…俺、大石のこと、全然わかってなくて…」

『好きだよ…英二…』

自然と涙が出てきた。

その涙は嬉しいから。

「俺も、大好き…」

受話器の奥に聞こえる愛の囁きをいつまでも忘れずに、心に止めていようと思った瞬間だった。











END

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