ハンター1

□痴話喧嘩の後は
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「…………」

「…………」



沈黙した車の中。




ムスッとした空気が漂っていた。







喧嘩の理由は、ほんの些細なこと……













「クラピカ!ドライブに行くぞ!」

「は?ドライブ?」

レオリオの口から出された言葉に、クラピカがすぐに聞き返した。

「おう!いっつも家ん中に閉じこもってんのも、疲れるしな!」

車のカギを手に、外に出ようとする。

「……そうだな。少し出掛けるか。」

そう言ってクラピカも出掛ける支度をして、レオリオの後を追いかけた。









車に乗り音楽を掛けながら国道を走っている。

レオリオは地図を片手に運転している。

助手席のクラピカはレオリオのその姿を見て、面白そうに笑っている。

「……くっそーどこにあるんだよ!」

「何がだ?」

信号で止まっている間、ずっと地図とにらめっこしているレオリオ。

「あ?……あ、ちょっとそこのコンビニで何か飲み物買ってくる…。…お前、なにがいい?」

「…紅茶を頼む。」

レオリオはコンビニに車を止め、車から出ていった。

クラピカはコンビニに入っていくレオリオの姿を目で追った。

「…あいつはどこへ行きたいんだ?」

どこへ行くのか聞いても答えてくれないレオリオに、少し不安を感じた。

すると、レオリオが一人の女性に声をかける姿が見えた。

「…っ!」

声は聞こえないが、レオリオはなんだか嬉しそうな感じに見えた。

それを見たクラピカは何だかやるせない気持ちになり、目を背けた。

それから間もなくしてレオリオが飲み物を持って帰ってきた。

「ほら、紅茶だ。…道、わかった…ぞ…。……クラピカ、どうした?熱でもあんのか?」

レオリオは車に乗ってクラピカの顔をのぞき込んだ。

「……随分嬉しそうだったな…?」

低い声でポツリとつぶやくクラピカに、レオリオは少しだけ身ぶるいした。

「…な、なんだ?どういう意味だよ?」

「しらばっくれるな!!…私が女性ではなくて悪かったな!」

クラピカはキッとレオリオを睨み付けた。

「っ!…ちょっ…クラピカ何怒ってんだよ!あれは、道を聞いただけなんだって!」

「言い訳か?よく言えるな!?」

必死に説得してもクラピカはわかってくれない。

そんなクラピカの態度に、どうでもよくなったのか、レオリオはため息をついて車を発進させた。

誰も喋らなくなった車の中には、陽気な音楽だけが鳴り響いていた。

どなり疲れたクラピカは、そのまま眠りについた。








「クラピカ、着いたぜ…」

遠くでレオリオの声が聞こえてくる。

きっと、レオリオも腹が立ってそのまま家に帰ったのだろう。

そう思いながら目を開けると、オレンジ色の夕焼け空が目に入った。

「……家…?」

「ほら、早く降りろ…」

遠くから聞こえていたレオリオの声が、今度ははっきりと聞こえる。

クラピカは体を起きあがらせ、車から降りた。

車から降りたクラピカの目に映ったのは、少しボロボロのアパートではなく、どこまでも美しく広がっている海だった。

バックには奇麗な夕焼け。

「……海…?」

しばらく立ちつくしていると、レオリオがその横に立って言った。

「…ここに“お前と”行きたかったんだ…。」

少し照れくさそうに、でもまっすぐクラピカの方を見ながら言った。

「私と…?」

「ああ…。お前をびっくりさせようと思ったから、お前にはどこに行くのか言えなかったんだ。」

「……あの、女性は…?」

「あれはマジで道を聞いただけだって!……俺が…お前以外…好きになるわけないだろ!?/////」

顔を真っ赤にしてクラピカから目を反らした。

「レオリオ…」

そんなレオリオの姿を見て、クラピカは自然と笑顔になった。

「ありがとう。」

「…お、おう…。」












二人は夕日に照らされながら、ゆっくりとした時間を過ごした。

























END

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