H.P(蛇寮)
□in the dark
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暗闇の中、何も見えないままガサゴソとまさぐる。
自分は今どこにいるのだろうか、はたまた今ここは夢で、現実ではないのではないか、そんなことを頭の端で考えながら何かを求めてまさぐった。
指先に何かが触れ、それを何か確認するように撫でると、何かはピクピクと動く。指を重ね、そのまま絡めると、安堵したようにまさぐるのを止めた。
「リドル…?」
浮つく声は今し方覚醒した証。
手を繋いだことに気付いたのか、握り返してくると「おやすみ」と指先に口づけられた。
「気楽なものだな…」
苦笑混じりに吐き出しながら、髪を梳く。
いなくなってしまった、そんな気持ちに囚われ、焦っていたことなど彼女はきっと知らないだろう。そして、彼女がいなくなってしまったらどれほど辛く苦しいかもきっと。
「ずっと傍にいろ」
額に唇を寄せる。
すやすや眠っている姿は、まるで動物園の小動物のようだ。
捕らえているのか囚われているのか…、彼女の存在を指先で感じながら目を瞑った。
(何があっても離さない)