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□悪夢
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−…ぁッ…
丹羽…くん!!!
梨紅は大助に向かって走り出した。
「丹羽く…−−」
…え?
触れようとした梨紅の手が大助の身体をするりと通り抜けた。
どうして…!?
その時大助は梨紅の後ろ姿に向かって言った。
「...梨紅さん…」
「え、なに..どうしたの?丹羽くん…」
梨紅は振り返らなかった。
振り返りたくなかった。
「ごめん…梨紅さん。ごめん…」
「!?…なんで…謝ってんのよ」
嫌な予感がした。
大助が何を考えてるのかわからなかった。
「僕は…僕が好きなのは…梨…「言わないで!!!!!」
あぁ.そういうことか。
梨紅は.どうしていいかわからなかった。
ただ聞きたくなかった。
そうよ、丹羽くんが好きなのはやっぱり梨紗で…
やっぱり丹羽くんはあたしと梨紗を重ねて見てたんだ。
そうよね.丹羽くんの初恋は梨紗なんだもん…
かわいくて女の子っぽくて…誰からも愛される梨紗のほうが……
「梨紅さん…」
「いいよ、もうなにもいわないで。丹羽くんの気持ちはわかったから。
お願いだから…だから…」
急に涙が溢れてきた。
…どうしてだろう…
その姿を見られたくなくて
梨紅は走り出していた。
丹羽くんの 嘘つき。
信じてたのに…
「りくぅ?」
!!
話し掛けて来たのは…
1番会いたくなかった人。
丹羽くんが 1番に想っている相手。
あたしから丹羽くんが離れていった原因…
あたしの1番大切な…妹。
梨紗……
「梨紅…丹羽くんとなんかあったでしょ」
りさ…あんたって娘は…
「…ちょっとね」
そう呟いた時.梨紗の隣に黒い羽をまとった人間が空から降って来た。
…ダーク………
「よぉ。可愛いお姫様たち♪」
調子よくそんなことを言って梨紗の肩に手をまわした。
「ちょ、梨紗に手ェ出さないでよ!!!!へんた…「泣いてたんだ?」
え…?
「そんなこと.あんたには関係ないでしょ」
梨紗はぷいと後ろを向いてしまった。
「いや。そうでもないんだよな。おまえが泣くともうひとりの俺がすっげー落ち込むから大変なんだよ」
ダークの意外な言葉に梨紅は驚きの色を隠せなかった。
「…もうひとりの…あんた…?」
梨紅はダークの方を向き直って聞いた。
「だから…」
ダークがなにか言いかけた時.
まわりがすごい光りでおおわれていった。
*