ガンダム00

□しあわせふしあわせ
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「彼は、幸せなのかな」

 家族を喪って
 テロへの憎悪を持ち続けて
 世界を変えようと奮闘して
 自分もかえりみず仲間を庇って
 喪った家族の仇を討って
 独りぼっちで、どこかに消えて。

「ねぇ、幸せ?」

 でも彼は死にたいのかもしれない
 自分を大事にしないのはその表れかもしれない
 早く家族の許へいきたいのかもしれない
 だから仇を討った今
 生きていても彼には辛いだけかもしれない
 生きていてもそのまま抜け殻のようになってしまうかもしれない
 死ねたら本望なのかもしれない
 仇が討ててそれで満足なのだ、と。

「でも、それでも夢を視るよ」

 振り返って
 笑顔で
 僕を抱き締めてくれるあなたの夢を
 未だにあなたのことを
 過去形で扱えない僕の頭を
 優しいあの手で撫でてくれる
 あなたの、夢を。

「ごめんね」

 あなたが幸せならば
 僕も幸せだと言っているのに
 ごめんね
 今の僕は、不幸せだ。

「どこに行っちゃったんだ」

 分かってるよ
 頭では分かってる
 でも心がついていかないんだ
 あなたの幸せを
 願ってあげられない、僕がいる。

「ごめん、ニール…」

 ごめん
 ごめんね
 本当に、ごめん。

「…帰ってきてよ……」

 どうやら僕は
 人の幸せも願えない
 最低な人間のようです
 ごめんね
 ごめん、ね。

「ねぇ、…」

 ニール
 僕の幸せそのもの
 きっと僕は
 あなたの不幸せそのものなんだろう
 ごめんね
 ごめん、なさい。



 今更の我儘だけど

 出来るなら

 二人一緒に





 幸せに、なりたかった。

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