†フロスピ† 長編小説

□†PROLOGUE†
1ページ/2ページ



〜†Prologue†〜




はぁ、はぁっ……


昔……俺は、変な黒い生き物に追われたことがあった。

『クソッ!しつこい奴……うわっ』

運悪く小石につまずいて転び、俺は後ろを振り向いた。
じりじりと迫る黒い生き物、後ろに後退りする小さい俺。何故か立つことが出来なかった。

『や、止めっ……』

黒い生き物が俺を襲おうと跳躍した途端、

ザシュッ

生き物と俺の間に入ってきた光の玉が生き物の身体を当て……黒い生き物は消えた。
なんだか分からない俺は、後ろを振り向いた。

「大丈夫?」

髪の長い、20代の女性が俺に駆け寄ってきた。

「怪我……今治してあげるからね」

女の人は転んで怪我した俺の左膝の前で、

「癒しを……」

そう呟くと、左膝の怪我の跡がなくなった。
驚く俺を見た女の人は、

「私……精霊なの」

優しく、ニコッと俺に微笑んだ。

せいれい……?

当時まだ小学生だった俺は、精霊という言葉の意味が分からなかった。

「これ……あげる」
女の人が俺に何かを差し出した。
黒い石で透明で、ダイヤみたいな形をしたネックレス……。

「いつかきっと……ううん、絶対守ってくれるから……」

そう言うと女の人は、ネックレスを俺の首に掛け、その場を去って行った――




















.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ