†フロスピ† 長編小説
□†PROLOGUE†
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〜†Prologue†〜
はぁ、はぁっ……
昔……俺は、変な黒い生き物に追われたことがあった。
『クソッ!しつこい奴……うわっ』
運悪く小石につまずいて転び、俺は後ろを振り向いた。
じりじりと迫る黒い生き物、後ろに後退りする小さい俺。何故か立つことが出来なかった。
『や、止めっ……』
黒い生き物が俺を襲おうと跳躍した途端、
ザシュッ
生き物と俺の間に入ってきた光の玉が生き物の身体を当て……黒い生き物は消えた。
なんだか分からない俺は、後ろを振り向いた。
「大丈夫?」
髪の長い、20代の女性が俺に駆け寄ってきた。
「怪我……今治してあげるからね」
女の人は転んで怪我した俺の左膝の前で、
「癒しを……」
そう呟くと、左膝の怪我の跡がなくなった。
驚く俺を見た女の人は、
「私……精霊なの」
優しく、ニコッと俺に微笑んだ。
せいれい……?
当時まだ小学生だった俺は、精霊という言葉の意味が分からなかった。
「これ……あげる」
女の人が俺に何かを差し出した。
黒い石で透明で、ダイヤみたいな形をしたネックレス……。
「いつかきっと……ううん、絶対守ってくれるから……」
そう言うと女の人は、ネックレスを俺の首に掛け、その場を去って行った――
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