Story

□惑溺
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いつもと変わらない朝。
学校に着いての顔触れはいつもと変わらないし、自分で入れたコーヒーの味も変わらない。


逆に味気ないように思う


もう少しくらいは変化が欲しいなぁ…なんて考えてみるけど、これが幸せなのかな?と自己解決。



「おはようございます」




ただ、彼が来ただけでなんでこんなに心に波が立つのかは不思議だ。
デスクも向かいだから、正直心が落ち着かない。



「神谷先生、おはようございます。」
どうして小野先生は行動とかが可愛いのかわからない。
「おはようございます。」





身長が俺より低いから?


体育教師なのに俺よりも
細いから?


それともあの笑顔?






考え込んでたら小さな声で、神谷せんせ!と呼ぶ声に気付いた。



可愛い…



とか思っていたのもつかの間、「神谷くん?何度ネクタイのことを言ったことか…」後ろを振り返ったら校長が立っていた。



「ネクタイ…?」
校長は何も言わせないようなオーラを醸し出して俺を見ていた。



「あ…すみません!どうにかしますんで…」
自分の首元を見ると何もされていないのに気付いた。



毎朝、苦しいからとネクタイは付けずに車に入れて来るものの、今日は忘れて来たらしい。




「神谷先生!!ちょっと来て下さい!」





そう言って、小野先生は俺の手を掴んで走った。







1校時目の授業まであと10分。
何となく、世界は2人だけになったような気がして嬉しかった。
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