なのは短編小説

□もう一度の誕生日
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 現在昼の十二時半。早めの昼を皆より先に食べ終えてすぐさま自分の部屋へと閉じこもったカイト。

 それから数十分後、玄関が開閉した音を聞いてやっとリビングに戻ってきた。

 挙動不審にきょろきょろとしながら入り口の近くにいたシグナムに問いかける。

「はやては図書館に行ったか?」

「ああ、シャマルと一緒に行ったようだ。今日は閉館時間ぎりぎりまでいるそうだから主が帰ってくるのは五時くらいだな」

 カイトはシグナムの言葉を聞いて、よしとガッツポーズをする。

 そして、声高々に号令をかけた。

「はやてが帰ってくるまでに、ケーキと料理を作って飾りつけを終わらせるぞ!」

「おう!」

「ああ」

「了解だ」

 残った守護騎士たちは真剣な表情で返答した。

 何故皆こうも意気込んでいるのか。その答えを得るには、二日前まで遡らねばなるまい。





 二日前。

 守護騎士たちもそれなりにこちらでの生活に慣れ、カイトとも仲良くやれるようになってきた六月の下旬頃。

 カイトにはかねてより考えていたことがあった。それを守護騎士たちに提案したのだ。

 提案したのは、はやての誕生日パーティーをやろうということだった。

 約一ヶ月前の六月四日は記念すべきはやての誕生日だったのだが、その日の零時に守護騎士たちが現れて色々と大変だったため、カイトはケーキも焼けずうやむやになってしまった気がしていたのだ。

 はやてにとっては新しい家族が出来たのだからもう十分すぎると言うだろう。

 それでも、カイトはやりたかった。

 はやての今までの寂しさを忘れさせるような誕生日パーティーをして、ありがとうと言いたかったのだ。

 誕生日はそれだけ大切な日なのだから、せめて今までとはひけをとらないほどのものにしたいと思った。

 そのままの思いを守護騎士たちに伝えたら、彼らも快く賛同してくれた。

 そして、決行は二日後となったのだ。






「役割分担は、まず俺とシグナムが買い物に行く。その間、ヴィータとザフィーラはこの本を見て色々と飾りを作っておいてくれ」

「折り紙、だったよな。確か昨日練習した輪飾りとかを作ればいいんだろ?」

「そうだ。解らないところがあったら帰ってきてから聞くから、その時は保留しといてくれ」

「おうよ。はやてに喜んでもらうためだもんな!」

「うむ、主のためにも頑張らねばな」

 ヴィータと人間形態になったザフィーラがそれぞれにやる気を見せる。

「じゃあ、シグナム。俺たちはデパートの方に行こう」

「分かった」

 カイトとシグナムも、ケーキを作るのに必要な物と夕食の食材を買いに向かった。


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