桜花 ブック
□十三
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「兄さん!手繋いで」
そう言って差し出される小さな手を握り締めればニッと嬉しそうに笑う晋助
橙色に染まる夕暮れの土手を繋いだ手を前後に振りながら帰路を歩く
「今日ね銀時から一本とったの見てくれてた?」
「見てたよ。晋助頑張ったもんな」
「あいつ卑怯なんだよ!絶対足技使ってくるんだ!」
「そう言う晋助は手出すだろ?」
「ゔぅ」
「足技も手技も出しちゃったら一緒」
ケラケラと笑いながら空いた方の手で晋助の頭を撫でてやると苦虫を潰した様な顔から一変
パッと花が咲いたような笑顔になる
「きっと晋助も銀時も大きくなったら俺が勝てないくらい強い侍になっちゃうんだろうなぁ」
「ないないないそれはない!絶対兄さんには一生勝てないよ」
首が千切れてしまうのではないだろうかと思うほど勢い良く首を横に振る晋助
小さく首をかしげると晋助は少し恥ずかしそうに笑い下を向きながら言葉を発した
「僕と銀時の戦い方は兄さんの見よう見真似だから…だから兄さんには勝てないよ」
「俺ってさ…先生と試合してる時そんなに足癖とか手癖とか…悪い…?」
「うん。物凄く」
はっきり言い切られ項垂れる晋汰
「この前のはホントに凄かったよ!兄さんが木刀持ってない方の手で先生に殴り掛かったけど掴まれて宙に放られた瞬間回し蹴り!僕もあんなのやってみたい!」
「(やばーい超無意識だよ俺)」
とりあえず笑って誤魔化そうと笑顔を作るも下からキラキラと光る瞳で見つめてくる晋助に変な汗が流れた
兄さんは世界一格好良い!
(……嬉しいけど複雑…)
to be continued
2010.05.03