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目を瞑っていても分かる異常な明るさに眉を寄せながらゆっくり目を開けると見たことのない天井が広がる

目を見開き、勢い良く体を起こすと全く知らない場所である事に困惑した


震える手を強く握り、勢い良くベッドから飛び降りて景色が見える方へ走って行ったが高い窓に届く筈無く諦めたように後ろに倒れ尻餅を着いてそのまま膝を抱き抱えた



「…………っ…」


膝の間に顔を埋め、目を強く瞑っていると遠くから何かが近づいてくる音がする
驚いて肩を揺らし部屋の端に身を寄せた
















「おー起きたか」



扉を開けるとさっきまで寝ていた筈のベッドは空で、部屋の端で膝を抱えて座る子どもの姿が目に入った

明らかに警戒していますと言わんばかりに睨んでくる子どもを無視して客室に設置されている机の上に卵粥の乗った盆を置き、自分はベッドに腰掛け子どもに目を向けた



「おいガキ」

「………!」

「腹減ってね?」



へらーと笑ってやるとぴくりと反応したがまた眉を寄せ警戒心を露にする



「何?いらねーの?」

「…………………」

「ふーん…うめェのに」


自画自賛しつつベッドから立ち上がりお盆を掴んで子どもの前まで持って行き目の前に湯気の立つ卵粥を置いた



置いてさっさと部屋を出ていこうと部屋のドアノブに手をかけた時、後ろから子ども特有の高い声が耳に届く
その声は本当に悲痛な声でドアノブをひねっていた手をゆっくり外した





「……どうせ…お前も…僕を………
殺そうしてるんだろっ…」


振り返ると目に涙を溜めて何もかも拒絶しているような表情を浮かべている子どもの姿

眉を下げ、下を向いたままツカツカと歩いていきあろう事か勢い良くしかも力一杯頭を鷲掴んだ




「……ッた…っ!」

「クソガキ…てめー舐めんなよ?お前の目の前にあるのはお卵様お米様おネギ様だコノヤロー。食べ物に毒混ぜて人殺そォなんてクソがやる事だ。人間はいつも食べ物に感謝しなきゃいけねェ、てめーはそれを分かっちゃいねェよぉだな…」




ヤクザもびっくりの極悪顔で鼻と鼻が当たりそうなほど近いところでノンブレスで言いのけると鷲掴みされている当の本人は眉を寄せ左目の大きな目から涙をボロボロ流している

その様子を見てパッと手を離すと若干冷えてしまった卵粥に目を落とす
小さな土鍋の横に置いていたれんげをおもむろに手にとりガッツリ卵粥を掬いとってそのまま口へ

子どもは今だ涙が流れる左目を見開き目の前の光景をあんぐりと見つめる


粥を飲み込むと卵粥が少しついたれんげを子どもに向け、ニヤッと笑って見せた






「それに残念ながら俺の料理は冷えてもうめェんだ」


そう言い土鍋にれんげを突っ込むと立ち上がりスタスタと部屋から出ていった

と思いきやドアを開けて顔をひょっこり出すと笑いながら食ったらソコで良いから置いとけよ、と言ってまた閉めた




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