桜花 ブック

□九
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「うるさい!」

「お前たちにはかんけーねーだろ」

「そうだ!」

怒りを含んだ子供らしい高い声
目の前の自分達よりも少し年上でがたいの良い少年達をグッと睨む


「お前達みたいな餓鬼がなんで寺子屋なんかに通えてんだよ!むかつくんだよ!」

「どうせお前なんて兄貴のこねだろ?」

自分を指差して鼻で笑う少年に晋助は顔を真っ赤にして怒りを露にする
銀時は今にも飛びかかりそうな晋助の腕を掴みその場に留めた

「晋助ほっとこうぜ。こんなやろー達に構ってる暇なんかねーよ」

「でも!」

「ほっとけって」

「…っ!」


晋助の腕に名一杯力を入れる
痛みに顔をしかめる晋助から視線を外すと小太郎の着物をあいた手で引っ張った



「ほらヅラも行くぞ」

「ヅラじゃない桂だ!」

「晋助も晋汰兄が待ってる」

晋汰の名前に大人しくなった晋助は銀時の腕を振り払う


「………わかった…」

踵を返し三人はその場を去ろうとしたその時後ろから声がし晋助達三人の耳に入った





















































「銀髪のあいつ。かあちゃんもとうちゃんも戦で死んでんだろ」

「寺子屋の先生に拾ってもらったのって絶対かわいそーだったからだぜ!」

けらけらと笑う声に銀時は歯を食い縛り手を握り締めた

「あーあかわいそー」

「あはははははは!」

強く握り締めた拳を振り上げ振り返った瞬間銀時の両脇の黒が揺れた
バキッと嫌な音が響き、その場で尻餅を着く少年達に怒声が降り注いだ





「お前らに銀時の何がわかるんだ!」
「貴様らに銀時の何がわかる!」

晋助と小太郎の拳は怒りに震え目には涙が溜まっていた
銀時はそんな二人を見て目を丸くする




「銀時だって好きで一人になったんじゃない!あいつは一度だって僕達の前で泣いたことないんだ!」

「ほんとは泣きたい時だってあるだろうが銀時は誰よりも強く生きてる!」

「僕達はそれを誰よりも知ってる!」

「何も知らない貴様らに銀時の事をとやかく言われるのは腹が立つッ」

「謝れ!銀時に謝れ!」

そう言い少年達に飛びかかる晋助達
対格差もありボロボロになっていく二人に銀時は歯を食い縛る

きっと頭に血が上った二人に声は届かない
自分を庇ってボロボロになっていく二人
そんな姿を見て銀時の瞳から大粒の涙が
溢れ出した


下唇を噛んで泣くことを耐えるも止まることを知らない。グッと涙を拭いとある場所に走り出した

二人を止められるのはあの人だけだ




























































「晋汰兄!」



泣きながら自分を呼ぶ声

晋汰は脱兎の如く走り出した


to be continued

2010.02.08





まさかのシリアス。




 

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