Live

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「とぅいんくるとぅいんくるりとるすたー」



お馴染みの子供向け英語番組の時間
2日前から変わった歌を必死に覚えようとする梵天丸を横目に事務作業に精を出す
毎年の如く冬の終わり馴染みの客が泊まりにくるようで、来月の空き部屋は0に近い



「………あ゙ー今日のお仕事終わり!デスクワークだけ……」


座ったまま伸びをすると背もたれに体重をかける
天井を見上げて腰の痛さにため息をついた


引っ張られる感触に横を向くとつまらなさそうに口を尖らせて春の服を引っ張る梵天丸が立っている
知らないうちにお気に入りの英語の番組は終わったらしい





「んー…どした梵」

「終わったなら遊ぼうよ!」

「仕事終わるまで待ってたのか?」

「待ってない!待ってやってたんだ」

「意味は一緒な」



グシャグシャと梵天丸の頭を撫でると重い腰を上げもう一度伸びをする
関節が鳴る音がリアルに聞こえ、ちょっとした爽快感が気持ち良い




「外で遊ぼう5点セット用意したら車庫の前に集合!Are you ready?」

「Yeah!!」


Go!という合図と共に自分の部屋に走っていく小さな背中を見送ると、椅子にかけたままの上着を羽織り玄関に足を運ぶ
お気に入りの黒いハイカットシューズに足を滑り込ませ玄関の扉に手を掛けたとき梵天丸が勢い良く走り込んできた

お揃いで買ったハイカットシューズに苦戦しながらも顔は満面の笑みで、履けたと同時に外に飛び出した











「春ーなにすんの?」

「んー今日は雪も積もってるしなァ…」

「雪だるま!」

「よし!でっけェ雪だるま作ろうぜ」

「Yeah!」



太陽が落ちかけたオレンジ色の空の下
青い手袋に包まれた小さな手は春の大きな手を握り深く雪が積もった場所へ

握られた手はとても暖かく
自然と握り返していた



































「春!星だー」

「おーほんとだ」



見上げた夜空にはいつの間にか星と月が

十分大きくなった雪玉二つを合わせると、梵天丸より少し大きくなっていた







「とぅいんくるとぅいんくるりとるすたー
はうあいわんだあわっとゆーあーっ」




嬉しそうに歌を歌いながら雪だるまの最後の仕上げ
背伸びしながら雪だるまの頭に青い小さなバケツを慎重に乗せる梵天丸

うまく乗せれたバケツを誇らしげに見つめる梵天丸の頭をポンポンと撫でてやれば、ニカッと子どもらしい笑顔を向けてくる


「飯にすっか?」

「秋刀魚食べたい」

「旬じゃないから却下」

「……春のばーか!イーッだ!」

「って!」



足の甲を思いっきり踏まれそのまま家の中へ逃亡する梵天丸を涙目で睨むと扉からひょっこり顔を出した梵天丸が舌をぺろっと出して笑った



「………っ!…こンクソガキィ!」



晴れ渡り星が輝く空に怒声が響いた




覚えてろよ…っ

ピーマン玉葱トマト胡瓜ほうれん草
晩飯は嫌いなもんばっかにしてやんよ…!



I hope to be sunny tomorrow!

20090622



 

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